2018年10月27日土曜日

アガサ・クリスティー「もの言えぬ証人」(1937)

アガサ・クリスティー「もの言えぬ証人」加島祥造訳(昭和52年版)ハヤカワ・ミステリ文庫の昭和56年第11刷を手に入れた。100円。
DUMB WITNESS by Agatha Christie 1937
この本も実物がそこにあるのを見るまでまったくその存在を知らなかった1冊。あんまり評判を聞かないので期待せずに読む。

莫大な資産を持っている老嬢ミス・エミリイが自宅階段から転落するも軽傷。だが、その数日後に病死という自然死。
エルキュール・ポアロのもとに死者から手紙が届く。まるで内容のない不安をつづった手紙。だが…すでに死から半月以上も経って届いている。なにかヘンだ。
有閑探偵ポアロはヘイスティングズくんときまぐれ興味本位捜査へ。

お金に困ってる甥や姪を差し置いて、それほど長く勤めてもいない家政婦が邸宅やほとんどの資産を譲られていた。死の直前に遺言状を書き換えていた。

ポアロは伝記作家と偽ってヘイスティングズと周辺で聴き込み開始。何かが起こらないといいが…と心配するポアロ。だが驚いたことに最後の95%まで読んでも事件が起こっていない。読んでいて飽きはしないが無駄に長い。

そしてラストで関係者が一堂に会してポアロが真相を披露。なんとポアロは容疑者たちの間からたったひとり、やれるキャラはこいつしかいないと初対面の段階で気づいてマークしていた!すげえ。まったく予想外な物質で毒殺されていた?!

見た目と印象が普通でも、人は腹黒い…という1冊。犯人はそういう印象と先入観を植え付けようと行動する。
ポアロの報酬はずっと現場にいて主を失った犬だけ。あれ?ポアロって犬を飼っていたっけ?
タイトルはあんまり作品と合っていない。

ミス・エミリイの友人の老婆から先のとがった傘で脇腹ぐりぐりされるヘイスティングズが可笑しい。自分なら「なにしやがるんだこのクソババア!」とブチギレる。
ポアロの偽りだらけのハッタリ捜査を非難するヘイスティングズとのやりとりも面白い。

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