2018年7月16日月曜日

高木彬光「成吉思汗の秘密」(昭和33年)

高木彬光「成吉思汗の秘密」(昭和33年)の昭和48年角川文庫版(平成4年第41冊)を手に入れた。100円。

高木彬光ってもう忘れられてる作家だと思っていたけど、この本は今日までよく読まれているようだ。日本のベッドディテクティブ歴史ミステリーロマンの代表作。

東大法医学部の名探偵・神津恭介助教授が盲腸で入院したから暇つぶしに「源義経が成吉思汗ってことを証明するわ~」って本。
もちろん学術書じゃないので読んでいてかなり柔らかい印象の本。探偵小説的手法で両者が同一人物であるか否かを探る…という異色作。

衣川で死んだはずの義経が宮古へ逃れ、八戸へ逃れ、蝦夷へ渡り樺太からシベリアへと渡った可能性の検証。
そして義経の死後、蒙古族に突如出現したリーダーのよくわからない出自と、地名や周辺の人々の名前に残る義経の痕跡。そして状況証拠の数々…。

マジかよ!?って偶然の一致の数々を指摘する神津先生に、もう完全に成吉思汗は源義経本人だろ!って思った。それに清朝の正体までも明らかに!

なぜもっと有名になってない?なぜ「やりすぎ都市伝説」で取り上げられない?!
これ、読んでる最中はすごく面白くて興奮した。途中までは。

資料収集で手伝ってくれた助手をめぐって、歴史学の助教授と病室で緊迫の丁々発止の大論争。そして神津氏がドヤ顔で「成吉思汗」という名前に込められた意味を語る。

なんか、終盤は不思議な因縁は巡る…というラブロマンスな展開。ちょっと失望。

ま、江戸時代以降脈々と続く義経=成吉思汗論争のおさらいもしてくれる1冊。
この作家は後に「邪馬台国」も明らかにしてしまったそうだけど、著書に「ノストラダムスの大予言」もあるのはいただけない。松本清張の歴史本に比べると格がだいぶ落ちるな…。

ちなみに、日本にはイエスキリストは青森で死んだという伝説もあるらしいけど(笑)、社務所をヘブライ語でシャムショという…という話を聞いたとき、ぶっちゃけ自分は完全に信じたw

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