江國香織「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」(2002)の集英社文庫版(2005)を友人の本棚から借りて読んだ。たまには同時代を生きる作家さんの文芸作品も読まないと。
エドワード・ホッパーのカバーがオシャレで良い。カバー裏に山本周五郎賞受賞作と書いてある。
表題作をふくむ全10篇からなる短編集。すべてが女性目線からの男女の話。たぶん多くの作品が若い女性読者を想定。泳ぐのに安全でも適切でもない恋愛の海へと泳ぎだした女たちの物語。
すべて文体が平易で誰でも読みやすい。あっという間に読んでしまうと、後でどんな話だったか思い出せない。
それでいて電光石火ズバッと鋭い浮かび上がって見えるようなフレーズを盛ってくる。あっさりしていて後味引く短編といえるかもしれない。
印象に残ったものというと、「うんとお腹をすかせてきてね」か。若い男女が思う存分食欲を満たし性欲を満たすだけの短編。
あとは母と幼い息子と上野動物園に出かけ、そこに父親が合流する「動物園」が印象に残った。
「十日間の死」という作品は女子高生がヒロイン。
フランス帰国子女で東京の高校に馴染めなかった16歳の主人公はボルドーの女子寮のある高校へ入れられるのだが、そこで35歳アメリカ人と出会って9か月にわたる性愛と不倫の日々。あげく逃亡し父親のカードでホテル連泊。
不貞腐れ16歳問題児ということで最初はらんぜか飛鳥で脳内再生していたのだが、性的なイメージはまったくできないw
「愛には躊躇わない、あるいは躊躇わなかった女たちの物語」と作者は巻末で語ってる。
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