2018年3月8日木曜日

アガサ・クリスティー「ゴルフ場殺人事件」(1923)

アガサ・クリスティー「ゴルフ場殺人事件」(1923)の田村隆一訳1982年版ハヤカワ・ミステリ文庫を手に入れた。1998年第24刷でわりと状態が良い。100円で購入。
THE MURDER ON THE LINKS by Agatha Christie 1923
タイトルがあまりクリスティーっぽくないって思ってた。リンクス上の殺人?そうか、LINKは複数形でゴルフ場のことか。ただし、この作品はゴルフとは一切関係ない。

この作品がクリスティー女史にとって長編3作目。「スタイルズ荘の怪事件」でポアロがこの世に誕生して第2作目。
フランスに住む富豪から助けを求める手紙が届く。ポアロはヘイスティングズと駆け付けると、自宅近くのゴルフ場予定地で刺殺体となって発見…。
夫人は自室で縛られていた。どうやら犯人は南米の2人組?

実はこの作品も中学生のとき一度読んでるはず。当時は新潮文庫で読んだ。今回ハヤカワで読み返してみて驚いた。やっぱりほとんど内容を覚えていない。
唯一覚えていたことは、ポアロとライバル関係にあるジロー刑事がやたらと好戦的なこと。そして、夫の死体を確認した夫人が気絶したのが本当かどうかポアロが確かめた場面のみ。

夜に被害者を訪問した2人の女?死体は下着にオーバーコートという謎の服装?ベラと署名した手紙?破り捨てられた小切手の切れ端?暇を出された運転手?息子は南米行きの船に?近所に住む婦人の正体?やがて中年浮浪者の死体までもが見つかり…。

パリからロンドンへ戻る途中の特急のコンパートメントに相席した「せいぜい17歳ぐらいの娘」に恋するヘイスティングズ。なんだこのラブコメ?
ポアロを手助けするはずのヘイスティングズ大尉が盛大にやらかしてしまっている。

部外者の少女を死体置き場に案内して証拠のナイフを紛失して大目玉。救いようがない。しかも恋してしまった相手をかばうためにポアロとも敵対w え?この人、バカなの?軍人らしさがまるでない。

大団円で事件のだいたいのあらましが読者に分かってからもさらに長い。ラストにさらに犯人を用意してる。さすがクリスティ女史らしいけど、あまり傑作という感じはしない。

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