2018年2月5日月曜日

アガサ・クリスティー「葬儀を終えて」(1953)

アガサ・クリスティーの「葬儀を終えて」を読む。これもそこに100円であったから他と一緒に買って帰ったやつ。
AFTER THE FUNERAL by Agatha Christie 1953
自分が手に入れたものは加島祥造訳1976年版ハヤカワ・ミステリ文庫の2000年第50刷(!)。

これ、たぶん十代のころ持ってたはずだけど、読まずに処分してしまった。クリスティを読み進めるうちに、戦前戦後の英国の人々と風景を想像することに困難を感じた。自分の人生における最初の海外ミステリブームの終焉のころ。といっても16歳ぐらいのことだけど。

現在の極私的クリスティーブームのせいで今こうして買い戻してる。FUNERALという英単語を覚えたのはこの本だった。この作品はクリスティー女史のポアロ長編としては割と有名で人気作っぽい。

大富豪アバネシー家(貴族か?)当主リチャードの葬儀を終え、館に集まって故人の古い友人で遺言執行人である顧問弁護士エントウィッスル氏から遺産分配方法を聴く一同。
リチャードの末妹コーラ(かなり知能の劣る中年女性)が突然「あら、リチャードは殺されたんじゃなかったの?」と発言し、その場の空気を止める…と言う場面で始まる。

そしてコーラが自宅で薪割で惨殺されて発見。リチャードは死の3週間前に長年関係が絶えていたコーラ宅を訪問して何やら話をしていたと家政婦は云う…。

老弁護士が方々に聴き込みに行って心の不安を解消しようと試みるのだが、やがて困難を感じてポアロに依頼。3分の1ぐらい読んでやっとポアロが捜査開始。
ポアロはすでに老人で、この事件の関係者たちにも知られていない存在。それにしても英国人たちは外国人を冷たい眼差しで見ていたことが印象的。

残り3分の1ぐらいになって修道尼の存在が気になってくる。国連の難民救済組織を代表する人物を装って邸内で捜査していたポアロは一同を客間に集めて、いよいよ解答編を開陳か?

リチャードの姪の舞台女優が「あんた、探偵でしょ?」と意外に鋭かったり、弟の妻で未亡人が「やっと違和感に気づいた!」と弁護士に電話してる最中に殴り倒されて発見されたりと、スリルとハラハラの連続!これはかなり面白いかも!

だが、ここからが長い!まだまだ続くよ会話劇。なんだかテンポが悪い。ポアロがまだ何も掴んでいない?イライラする。

クリスティ女史らしいミスディレクションの罠が張り巡らされてる感じはずっと感じてた。真犯人は十分に意外だけど、自分は「こいつも十分に怪しい」とマークしてたのでそれほど驚いたわけでもなかった。

もうちょっとシンプルで短くまとまってたら85点は与えられた。

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