2018年1月15日月曜日

アガサ・クリスティー「メソポタミヤの殺人」(1936)

アガサ・クリスティー「メソポタミヤの殺人」を見つけた。高橋豊訳1976年版ハヤカワ・ミステリ文庫の2001年第44刷。100円でゲット。
MURDER IN MESOPOTAMIA by Agatha Christie 1936
実はこれ、自分が中2ぐらいのときに読んだ。「オリエント急行の殺人」に次ぐ人生2冊目の海外ミステリ。今回、買いなおした。
中学生のときは読んでみてそれほど面白さは感じなかった。今読めばさらに理解が進むかもしれない。

犯人と殺害方法はなんとなく覚えている。そんな状態での再トライ。だがやっぱり、内容はほとんど覚えていなかった。そこがクリスティー作品のいいところw

この作品はシリアにある英国テル・ヤリミア遺跡発掘調査隊宿舎で、考古学者の妻が殺害された事件。現場で最初から最後まで当事者として関わってしまった中年看護婦の手記という形式。この看護婦がわりと他人の表情とか発言とかに敏感で聡明。するどい観察眼を持った魅力的なヒロイン。

シリアの軍内部の不正事件を調査した後、バグダッドを見物しシリア経由でロンドンへ帰る途中のポアロに捜査を依頼が回る。この作品はポアロが、かの有名な「オリエント急行」に乗車する前に解決した事件。
発掘現場宿舎という、社会から隔絶された場所での連続殺人事件。しかも中東を舞台にしたエキゾチックな作品。だがそれほど有名になっていない1冊。

捜査に制約しかない現場において、ポアロは被害者の夫人と発掘調査隊の人々の人物像を分析し犯人を推理。殺害トリックもアリバイもすごくシンプルで単調すぎる…。長編にするほどのものでもない。

それに証拠がないにもかかわらず、ポアロから名指しされた犯人があっさり自供。それほど納得がいかない。
人物が入れ替わって成りすまして成功するって、それほど簡単なことじゃない気がする。ま、76点ぐらいの面白さ。

失踪事件を起こしてアーチボルド・クリスティーと離婚したアガサ・クリスティーは1930年に若き考古学者マックス・マローワンと結婚する。
夫に同伴し、中東の発掘現場で執筆活動をしていた時期に生まれた作品。巻末の解説を読んで知った。

だが、自分が驚いたのは、日本古代史に興味があれば誰でも知ってる「騎馬民族説」で有名な江上波夫・東大教授が、1957年の北メソポタミア・エルサラート発掘調査に参加してたついでに英国ニムロド発掘調査隊を訪問し、マローワン&クリスティー夫妻と団らん交流していたこと!

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