2017年12月4日月曜日

横溝正史「幻の女」(昭和12年)

横溝正史「幻の女」の昭和52年版角川文庫(昭和56年第9刷)を手に入れた。「迷宮の扉」を買った同じ店で。

サンフランシスコから日本に上陸した殺人鬼「幻の女」を追う三津木俊助記者と由利先生が活躍する戦前のスリラーもの。
昭和12年に連載されたものなので、女性の言葉遣いがさすがに古めかしい。
だが、文体がとても平易でわかりやすくページをさくさくめくれる。

江戸川乱歩の少年探偵団テイスト。誰と誰が正体入れ替わってるとか、最後は大捕り物とか。庶民の娯楽エンタテインメント作。

19~20歳ぐらいの美少女の女怪ヒロインが新鮮!ドラマ化希望w

「カルメンの死」は巻末解説によれば昭和25年「講談倶楽部」に連載された「迷路の花嫁」の改題。「迷路の花嫁」という長編は別にもあって、この短編とは関係ないというからややこしい。
婚礼の場に送り付けられたウェディング姿の女性の刺殺体!登場人物がみんなオペラ歌手。
とても横溝正史らしい雰囲気と舞台装置。由利先生と等々力警部が登場。短編なので味わいはそれなり。

「猿と死美人」(昭和13年)は三津木記者と等々力警部が隅田川で出会った怪奇な事件。猿の声?!のする檻が川を流れてる?
面白さはそれなりな短編。横溝正史が好きでたまらないという人には価値があると思われる。

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