松本清張が昭和40年から43年にかけて「宝石」に連載した「Dの複合」の新潮文庫版を手に入れた。
これ、たまたま入ったBOが文庫半額セール中で54円で手に入れた。54円でも欲しい文庫本はこれしかなかった。
これ、16歳ぐらいのころ読んだはず。あまり面白くなかったというおぼろげな記憶。
松本清張の古代史、民俗学知識をふんだんに盛り込んだ、ペンダンチックともいえる紀行文的ミステリー。今読めばさらに理解できるのでは?と読み返した。
びっくりした。何も覚えていなかったw やっぱり高校時代の自分はただ活字だけに目を通していただけだった。
今回読み返して思った。これ、前半はダラダラ何が何だかわからないが、終盤に一気に点と線がつながる圧巻の爽快感。山陰、京都、淡路、静岡、熱海、伊豆、安房・勝浦、成田、塩釜、網走、日本中を縦横無尽。
保田や西伊豆は何度も行ってる場所なので活き活きとイメージできた。
パッとしない中年作家・伊瀬、そして若い編集次長・浜中の二人が主人公。
若いのに物知りでおしゃべりでやり手で精力的な浜中に作家が振り回され、日本中を連れまわされ、ときにイライラする話。
作家は清張自身がモデル?実際にこんな若い編集者にイライラしてたのかもしれない。やがて殺人事件に巻き込まれる。
先日読んだ「数の風景」のように、「Dの複合」にも「計算狂」という若い女が登場。この本でも計算狂女が事件のカギを握ってる。
そして登場人物たちの哀しい過去。ちょっと横溝正史っぽい作風。
今回、このタイミングで読み返してよかった。面白かった。
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