長澤まさみ「高校入試」（2012）

「高校入試」を今になってやっと見た。2012年秋ドラマだったのでもう5年経ってる。それは信じられない。

湊かなえの書き下ろし脚本で話題になったこのドラマ、高校入試の前日と当日の二日間が描かれる。番宣素材やDVDジャケットを見ても長澤まさみの完全なる主演作。長澤まさみの教師役が見れる貴重なドラマ。高校入試をめぐる悪夢のような混乱が描かれている。

初回から何者かが試験を妨害しようとする。第3話以降、試験開始からの展開が異常にイライラする。こんなドラマ、見て面白いか？

だが、帰国子女英語教師役の長澤まさみ25歳が美しい。基本ずっと考え事してる表情の演技が多い。ぴったりパンツスーツ姿とジャージ姿がいっぱい。でもそれは序盤のみ。

美脚も見れる。だが、事態がややこしくなっていく中盤はやや出番が減る。以後ひたすら人間の醜い争いが描かれている。

職員室での芝居がみんな舞台っぽい。ひたすら会話劇。そこは見方によっては面白く楽しい。

徳山秀典は「クロスファイア」以来のまさみとの共演。イメージがずいぶん変った。
中尾明慶は性欲強そうな体育教師。こいつ顔から何から嫌い。
高橋ひとみがウザすぎる教科主任。職場において邪魔でしかないｗ
南沢奈央も混乱に拍車。なんちゃらリゾートの件が関係あるのかないのかわからずもやもや。

裏でこっそり進行する悪意が断片的に示される。試験問題が外部の匿名掲示板にリアルタイムで流出してる？！

入試に付き添う親たちが現場の指示に従わないｗ　控室で韓国ドラマを見る。
偉そうに威張り散らす同窓会会長（入江雅人）が特別扱いを求めるなどの秩序崩壊。こいつが一番殺意を覚える。こいつが一番試験現場を妨害してる。

厳重に申し渡したはずのケータイを試験中に鳴らして失格する美山加恋とその母（生田智子）。みんなクレーム。各自が勝手な主張で現場がさらに混乱。入江と生田が2大ヒール。強く主張してゴリ押し。

ケータイが鳴ったせいで気が散った！ケータイは誕生以来様々な問題を投げかけるなｗ
まだみんなガラケー。誰もスマホじゃない。
「張り紙にケータイ鳴らしたら失格って書いてない～」「ケータイ可って書いてあったから煽られた～」とか。
こういう想定外のハプニングとクレームは運営側からしたら悪夢。オリンピックとかもそう。

「渇き。」で壮絶なイジメにあう暗い少年が高杉真宙に嫌がらせをするかまってちゃん。いやいや、顔見ればふつう役割が逆だろ。
何か悪だくみをしている様子の少年が、悪い奴は顔つきも悪いというわかりやすいドラマ表現。

採点がデリケートな問題すぎる。
今は開示請求があるかもしれないから、採点する側は異常に神経をすり減らす。
カンニングの告発文が書かれていたとしたら？
全教科ほぼ満点で1科目だけ白紙で出す生徒がいたとしたら？
学校への恨みを晴らすという目的なら、現場を大混乱させているので、望みは達成されている。

入試部長（斉木しげる）が答案用紙紛失事件で先生たち全員を聴きとり調査するのだが、この情報処理担当教諭が探偵のごとく有能。校長と教頭が無能すぎ。

最後のほうになるとまさみが「告白」の松たか子みたいになってた。
とにかくひたすら酷い話で不快感。全13話、今後2回目を見るのはキツい。

旧制高校時代のナンバースクールや、かつての日比谷を想わせるが、さすがに東大より一高がステータスということはない。

日本の入試に問題を投げかける。偏差値が上とかで優越感に浸り、15歳と18歳の数字と校名ブランドを誇り気にする人々への痛烈な批判。
ちょっとした集まりで大学名の入った校歌を歌うとか迷惑でしかない。

地域一番の高校がすべてだなんて、一体どこがモデルになってる？
よほど田舎でないとこんな閉鎖的な考えかたをいつまでも保っていられない。優秀なやつはよそへ出ればいいはなし。
湊かなえは広島出身。ひょっとすると西日本なのか。

長澤まさみの妹分・東宝芸能の山崎紘菜がわりとタイプｗ　笑ってても顔が怖いところがいい。長身スタイルと眼力がすごい。先生にたいして上目遣いで甘える小悪魔子猫ちゃん。重要な役どころを演じた。
だが、今もこのときと女優としての知名度とポジションにあまり変化がないな。

長澤まさみはこの5年の間にさらに大女優になった。もう、軽々しくカワイイとか言ってられないかもしれない。

主題歌「青い春」のback numberもビッグになった。強い存在感を見せた高杉真宙くんは「散歩する侵略者」でまさみと再び共演。