2017年8月19日土曜日

ケトル 2015年10月号「松本清張が大好き!」

ケトル 2015年10月号 特集「松本清張が大好き!」を今になって手に入れた。100円でゲット。
松本清張大好きを公言しているみうらじゅん氏が独自の清張論を展開する、これから松本清張を読む人にもピッタリなオススメガイド本。

こんな松本清張ガイドムックは「太陽」とかでもあるのだが、自分はこれが初めて。自分も松本清張をもっとも尊敬している作家としている以上、こういった作品ガイドにも目を通しておきたい。

聖地巡礼までしてしまう清張オタみうらじゅん、「清張は推理小説家ではない。人間の業を描いたホラー作家」「清張文学とはボブ・ディランの歌であり、仏教書である」「普通の人間が調子に乗ると陥る『清張スイッチ』がある」などのオタ名言を残す。

とくに「ゼロの焦点」において、「人間はうしろめたいことがあるときほど、真実をほのめかす余計なひと言を口にしてしまうんですよ。僕はそれを『うしろメタファー』と呼んでいる」という指摘には「ああ、なるほど」と思った。人から何かを聴きだすときの方法のひとつだなって。

日本には偉くなったと調子に乗って愛人囲ったり不倫したりする悪しき伝統がある。ひたすらエリートや一般サラリーマンが出張を口実に愛人と会う。そんな清張作品の型の分類とか面白かった。

とくに「グッドクリフ(良い崖)の近くには温泉がある」という指摘には鋭い日本文化論を感じた。昔は愛人と逢瀬を重ねる場所は温泉宿だった。その近くに地獄へ通じる崖がある。欲望の果てに地獄があるという戒め。「わしは見とるぞ」という清張さんがそこにいる。
2時間ドラマの最後が崖での告白なのは、松本清張の「ゼロの焦点」が作った型。

しばらく中断してた松本清張読破に、このガイドを片手に再び挑戦したい。

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