奥付のどこにもいつごろの作品か書かれていない。昭和48年に初版と書いてあるが、調べてみたところ昭和23年から24年に雑誌連載されたものらしい。読んでいて戦後すぐの時代だろうなとは思っていた。
横溝作品に限らず、昔のこの手の大衆小説は障害者に対する見識のレベルがかなり低いが、この版は平成8年に著作権継承者の承諾を得て一部改められているらしい。昔の人はあんまり弱者のことを思い遣らない。
佝僂の2人の男が重要なトリックのひとつ。そして夢遊病、日本刀と金庫、首なし死体、殺害時間のトリック…。
そして旧幕時代の主君と家老家、領民の一揆の因縁、近親相姦…、THIS IS 横溝正史!という作品。
この作品、おそらく横溝正史の代表作のひとつだと思ってた。今まで読んだ横溝作品の中で一番面白かった!一番ヤバイ。イッキに読み終わった。結末が予想外すぎた!
真ん中あたりでようやく金田一耕助登場!
「ひょっとするとあなたがたは、鬼首村の古神さんのところへおいでになるのではありませんか」なんとこの作品でも舞台は岡山県の山奥にある鬼首村だ!w しかも舞台は古神家w
「それはちょうど好都合でした。実はぼくも古神さんのところへいくんですがね、お邪魔でなかったら、御一緒に乗っけてもらえないかと思いまして……」
妖しい怪奇趣味と悪趣味で時代を感じる。
面白かったのだが疑問点もいくつか残る。
八千代嬢がピストルで蜂屋の太ももを撃つって場面。至近距離であっても事前に練習しないと24歳の女性には無理なのでは?
だが、それでもやっぱり魅力的な作品だった。だが、この作品は映像化が相当に難しいのでは?と思う。
横溝正史の中でも「夜歩く」と「八つ墓村」は他のと雰囲気が違う気がします。金田一ものの黄金パターンを外れているせいなのか、「夜歩く」の終盤には驚きながらも何かバランス悪いなと感じた記憶があります。わたしは好きなほうだけど、あんまり人気は無いかも。映像化無理とも確かに感じた(でも、ちゃんとされてる)。これは金田一の長編第三作。まだ試行錯誤というか、欧米ミステリへの挑戦意欲が溢れてますね。タイトルからして影響受けたディクスン・カーのデビュー作(『It Walks by Night』邦訳「夜歩く」)と同じだし。
返信削除トランプ勝っちゃうし。もう何でもあり!
いやぁ本当にミステリーに詳しい!
返信削除自分もどの横溝作品を読んでも構成やラストがしっくりこない古さを感じます。
11月19日NHK BSプレミアム後8:00~10:00で長谷川博己が金田一を演じる「獄門島」が放送されますね!金田一の新作としては久々でファンは楽しみ。