2016年1月5日火曜日

「悪魔の手毬唄」のロケ地「鬼首村」

以前からロケ地めぐりネタがなくなったら行こうと思ってとっておいた映画ロケ地へと、12月の年の瀬に、いつもの友人とふたりで向かった。
1977年の市川崑監督、石坂浩二主演の金田一シリーズ第2弾「悪魔の手毬唄」のロケ地へ。
行き先は鬼首村(おにこべむら)だ。映画は岡山が舞台となっているのだが、多くの部分が山梨ロケで撮影された。寒々しい葡萄畑のひろがる村で起こった恐ろしい連続殺人。
撮影から実に40年ちかく経っているのに、ロケ地はまだそこにあるの?
なんと、映画版の鬼首村は山梨県の観光地、昇仙峡にあった!
自分は別の友人と数年前に昇仙峡に来たことがあったのだが、ロープウェイ乗り場から歩いてすぐの場所が「鬼首村」だったとは…まったく想像していなかった。
鬼首村が生んだスター別所千恵(仁科明子)の村への帰還。「チエちゃ~ん!」手を振って駆けてくるおさななじみたち。
40年の間に風景はだいぶ変わってしまっているが、面影は残っている。自家用車の普及は日本の村々の風景を変えた。
実は、昇仙峡へ行く前に立ち寄った場所があった。金田一さんが泊まる「亀の湯」。
まだそこに現存していた!手前にあった茅葺屋根の納屋はなくなっている。
以前はどこがロケ地なのか不明なままだったのだが、金田一マニアたちが数年前に特定した。ネットで情報交換ができる時代になったからこそ可能になったことだな。

今回のロケ地の旅は、既に多くの熱心な先人たち(マニア)がブログに書いてくれていたことで我々も行くことができた。金田一マニアたちには既に広く知られたロケ地めぐりの必須ポイントだが、今も人が住んでる家なので詳しい場所は書くわけにはいかない。この集落まで行く道は車1台がかろうじて通れる狭さ。

なんと、信じられないかもしれないが、隣家はダンサーで俳優としても活躍するTの自宅である。ここを訪れると畑で農作業をしている田中を目撃することがあるらしい。ここを訪れた段階ではその事実を我々はまだ知らなかった。
ちなみに、この石坂金田一自転車道は現存していない(?)
金田一さんが訊き込みのために総社の町へ歩いて出かけるこの道も、今では自動車道になっていて、まったく風景が変わってしまっている(?)
事件の鍵を握る謎の老婆と峠道ですれ違うシーンのロケ現場を探すのだが…
映画では望遠で撮っているので同じようには撮れなかったのだが、今ではこんな坂道になっている。ぜんぜん違うじゃん!?
(どうやらこのシーンのロケ地はまったく別の場所らしいということが後に判明)
謎の老婆が下っていく道
似てる場所はあったのだが、どうやらこのシーンの撮影場所はここではない可能性が高い。
亀の湯に使われた民家の裏山へ登る道から見た峠道はこうなっている。手前からこの道を老婆が登って来た。
裏山へ行く坂を登ると、この集落の墓場がある。村の駐在さん(岡本信人)が村人から「最近、墓を荒らされた形跡がある」と知らされるシーン。
こんなシーンもマニアたちは既に特定していた。すげえ、マニアすげえ。
この集落は77年の撮影当時、畑の多くが桑畑だった。だが、この40年の間に日本の農村での養蚕はまったく廃れてしまい、代って杉林になってしまっていた。
里子殺害現場の「六道の辻」
2015年12月はこんな風景になっている。
現場には血塗られた地蔵は…もちろんない。だが、道祖神や安政年間の銘の入った石仏などがある。
いや~、子どもの頃から見ていた「鬼首村」が実際にそこにあったことを確認できて大満足の旅だった。よくぞこんな山奥までロケ隊はやって来たものだ。当時は今以上に悪路で、撮影機材も大きかったはず。

次に我々が立ち寄った場所は…、つづく。

後記:金田一さんが謎の老婆とすれちがう峠は、どうやら周囲の山の形から判断して別の場所らしい。市川崑は気に入ったカットを撮るためには場所を変えながら撮るので、同じシーンでもその近くで撮影してるとはかぎらない。一筋縄でいかない。

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