2005年に日本テレビ系で放送された連続ドラマ「女王の教室」を、放送当時以来、ひとつきほどかけて10年ぶりに全話見返した。
ゼロ年代でもっとも面白かったドラマのひとつ。自分も放送当時毎週欠かさず見ていた。
すごく面白かったと記憶していたのだが、今見てみると当時の興奮ぶりがよみがえるほど面白かったわけでもない。
脚本の遊川和彦はこのドラマの成功で売れっ子になったけど、結局「家政婦のミタ」ぐらいしか評判を聞かない。NHK朝ドラ「純と愛」の壊滅的崩壊ですべてを失った。
とにかくこのドラマの6年3組が酷い社会の縮図。みんな自分だけのことで頭がいっぱいの小市民ども。
ヒロインの神田さん(志田未来)とバカ男子による、スターリン阿久津(天海祐希)体制への孤独なレジスタンスが見ていてつらい。阿久津は超一流教師ということだが、無邪気な神田さんだけをギリギリまで追い詰める意味がわからない。他のどうしようもない生徒は放置してかまわないって判断なのか?
連帯責任での相互監視とか江戸幕府か!東ドイツか!シベリア抑留か!文革か!クメールルージュか!とずっと突っ込みっぱなし。生徒たちを分断して支配。イジメが酷い。ガリ勉どものうまく先生に取り入ろう感が見ていられない。
他の教師たちがみんな無能。典型的な公務員。スタイルのいい原沙知絵の真ん中わけボブで困り顔がすごくのっちっぽい。
前半5話まで、明るく正義感あふれるドジっ子ヒロインがイジメにあうので見ていてつらい。過激な内容にスポンサーも離れた。このドラマは後半最終回に向けて、ドドドドと視聴率を上げていったと記憶している。
このドラマでブレイクした志田未来という子役は21歳になった今でも人気だが、自分はこの女優をこのドラマでしか見たことがない。
主演を食うほどの存在感を見せた孤高の「進藤さん」を演じた福田麻由子が素晴らしい。反抗的な目がたまらない。第5話で進藤さんが「友だちなんて必要ない」ってクールになった理由が明らかになる。この回の進藤さんは本当に鳥肌。この子に萌えまくった男は当時たくさんいたはずだ。すっごく華奢。
だが、自分はその後まったく見ていない。この子が主演した「フレア」という作品を探しているのだが、まだ一度も見かけない。
ヒロインの姉を演じた夏帆が天使すぎた。ぜん息持ちという設定なのでパジャマ姿が多い。たまにメガネにセーラー服という萌えで満ちている。この当時の夏帆を知っていると、「みんなエスパーだよ」以降の変化ぶりに世間がザワザワするの分かる。
夏休みすら奪う鬼教師。教室内窃盗事件で裁判までさせる。スパイまで強制しておいてあえて全員にばらす。「断ることもできたはず」と突き放す。残酷すぎ。
ドラマ後半の盛り上がりぶりは神がかってた。毎回泣いた。だが、結局クラスメートの子たちのほとんどは戦前戦中の日本人みたいに全体の空気に流されてるだけだよね。
最終回とその前の回はつまらなくて見るのが苦痛だった。
そもそも神田さんや進藤さんといったレジスタンス分子がいない愚鈍で従順なだけのクラスだったら、北朝鮮を見てるだけのようなドラマになってたんじゃ?児童たちがもっと早く教育委員会に頼る方法に気づいていたら?
「女王の教室」の続編的なスペシャルドラマは見る価値ないと思う。
このドラマはあらかわ遊園とか、北区や足立区の荒川沿いでロケをしていた。知ってる場所だらけ。王子駅に隣接する「さくら新道」も登場。さくら新道は2012年の火事以降に一回も行ってないな。
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