2015年9月5日土曜日

リンダ リンダ リンダ (2005)

山下敦弘カントクの「リンダ リンダ リンダ」をひさしぶりに見返した。これ、DVDが出てすぐに見て以来、2回ぐらい見ている。
自分はこれをゼロ年代の大傑作だと思っている。

これを見た当時、まだベースの望がBase Ball Bear関根史織だということを知らなかった。まだBase Ball Bearというバンドも知らなかった。

映画の最初のシーンはドラムの響子(前田亜季)が廊下を歩くシーンを横スクロール、文化祭準備中の教室を見せていく。ところどころ立ち止まって会話して、恵(香椎由宇)と凛子(三村恭代)がケンカしていることを映画の視聴者にそれとなく説明する。萠(湯川潮音)が指を怪我して恵がすぐに代役をたてたことが凛子には気に入らない。そのへんは女子高生群像劇。

文化祭が始まってから新メンバーで新曲を必死で練習始めるとかどんだけ泥縄なんだよ。無茶すぎる。絶対的なタイムリミットへ向けて切迫した練習。

これ、見た当時は知らなかったけど、音楽がジェイムズ・イハ!それ、びっくり。後にサントラも手に入れた。

香椎も関根も今では人妻だ。このふたりの関係が今見返すとかなりドライでクール。お互いあまり喋らない。香椎が美人過ぎて制服姿が似合わない。わかりやすく下品に言うと色白ムッチリエロボディ。
前田亜季は近年あまり見かけないけど、中学生ぐらいのときがピークに可愛かったな。風呂上りに部屋でドラムを練習してるメガネ姿がリアル萌え。

まったり日常シーンの切り取り方がまさに「放課後ティータイム」。なんでもない毎日が高校3年間のなかでどんなに貴重だったか、それは数年後に振り返ってわかることだな。
バンドのボーカルが韓国人留学生ソンさん(ペ・ドゥナ)というところが最大のポイント。ソンとカラオケ店のギリなコミュニケーションぐあいとかすごく面白い。

韓国文化の紹介を校舎の片隅で展示していたときの退屈ぐあいと、バンドに誘われた後の熱中ぐあいの格差!ペ・ドゥナは日本映画にその名を永遠に刻んだといっていい。ソンさんに告白する生徒が松山ケンイチだったことに今回見て初めて気がついた。
山下監督は終盤の文化祭シーンの前になぜか夢オチシーンを持ってくる。これ、見たとき「何だこれ?!」って思ったけど、このシーンがとても面白い。「ラモーンズさんとピエールさんよ」のシーンが、うわ、それっぽい!ホントにピエール瀧だよ!って笑った。

土砂降りの雨にずぶ濡れになりながらやっとのことで駆けつけた文化祭ステージ、リンダリンダリンダの演奏シーンはやや生徒たちの盛り上がり方が理想的にすぎやしないか?って思う。

映画ラストの「終わらない歌」シーンには興奮がある。演奏シーンを見せないで、土砂降りの雨、誰も居ない校舎、廊下、教室、下駄箱、プールのカットをはさむ。これ、自分はうっかり泣きそうになる。あの風景は人生の中でほんの数年だけ感じることのできた風景だ。
音楽をやっている人すべて、中高生のすべてに強く薦めたい、山下監督の代表作、ガールズバンド青春映画のひとつの頂点。

4 件のコメント:

  1. 僕はこの作品がゼロ年代の日本映画ベストかも。公開時に4回ぐらい劇場で観ました。初日の舞台挨拶に行こうとしたら入れなかった。
    当時山下監督に心酔していたんで、オールナイトの特集上映なんかも行ったなー。笑いの感覚や空気感などようやく自分と同じ世代の感性を持った映画監督が出てきたなと思いました。

    この映画は「台風クラブ」とか「桐島」みたいにカルト映画っぽい不穏な空気がありつつ、ポップな爽快感もあってその辺のバランスがすごく良かった。
    あと音楽の使い方がうまかったですね。ブルーハーツの楽曲自体のパワーがすごいし、もし音楽が無ければけっこう地味な映画だったと思う。普段はサントラとかあまり買わないけど、これはさすがに買いましたね。

    香椎由宇と前田亜季はもっとメジャーになってもよかったのにと思う。特に香椎由宇はすごい美人。ゴールデンのドラマで主役を張るには高嶺の花過ぎたのか…
    ペ・ドゥナもサブカル野郎共にはたまらない存在。韓国映画の「子猫をお願い」という青春映画が傑作でした。
    関根史織もこれ以上ないくらいのハマり役だったなあ。

    10年も経つと、いい映画体験っていい思い出になるんだなとしみじみ感じますね。

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  2. そんなに劇場で見たってすごい。オールナイトとかもう何年も行ってない。
    自分も香椎は美人過ぎたと思う。あんまり男性ファンっていなかったかも。
    もう10年も経つのかなって思う。そろそろロケ地へ行ってみたい。

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  3. なんだか、この映画にはまだ再発見の余地がありそうなのですが…時の流れが緩やかすぎるので…^^;

    THE BLUE HEARTSデビューから30年が経ち…解散した今も唄う人がいて嬉しいです…最近だと片平(里菜)さんがthe LOW-ATUS(細美武士とTOSHI-LOWのユニット)の影響でTHE BLUE HEARTSの「青空」や「情熱の薔薇」をカバーしててそれを聴けた時は…もう感極まって目が潤んでしまいましたw
    (片平さん念願のスカパラとのコラボが叶ったり…なんだか、僕好みになっていってる感じがしますw)

    ちょっと前にヒロトさんがヨルタモリに出て、あの頃を「過大評価された時代」と表現したり、カバーズでましまろとして出たマーシーさん…あの頃に自身が作った楽曲、脳天気について「当時の状況(いきなりバカ売れして)についていけず、落ち込んでた時に作ったうた」って言ってたり…。
    あの頃があってヒューストンズやハイロウズ、そしてクロマニヨンズとましまろがある…もう、二人には今の心に鳴り響く音楽を信じてやってほしいです。

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  4. 片平里菜とスカパラの件はびっくりしたわ。姉御さんみたいになってた。
    シンプルにつくった曲のほうが代表曲みたいになってしまうってよくあるな。
    クロマニヨンズはまだ1回も見たことないわ。

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