2015年6月9日火曜日

西川美和 「蛇イチゴ」(2003)

西川美和の監督第1作「蛇イチゴ」(2003)を見た。28歳の西川監督が脚本も書いている。製作総指揮に是枝裕和の名前がある。日本中どこにでもありそうな一家の家庭崩壊の狂気をブラックに描いた1本。宮迫博之の映画デビュー作だ。

宮迫博之は香典泥棒をしている不良。この人の演技にはいつも感心するし素晴らしい。この人、ダメ人間やらせたら日本一かもしれない。勘当された実家に10年ぶりに帰ってきて一時的に一家を救う。債務に関する知識もあって意外に有能かと思いきや…。

つみきみほは真面目で固い小学校の先生。きりっとした顔が役にとても合っている。この映画でただ一人のマトモな人。家庭が崩壊していく中で孤独に追い詰められていく…。
とても素晴らしい演技をしていたと思う。声と喋り方も好き。

宮迫とつみきのふたりが対峙するシーンは緊迫している。ふたりだけの「蛇イチゴ」の思い出。そして、ふたりは蛇イチゴがあったと兄の言う山の中へ。最後につみきが見たものは…。

平泉成はいつでもどこでもザ平泉成(笑)。文句と不平ばっかりで威張ってばかりだけど小物の父。こんな人とはつきあいたくない。

痴呆症の祖父は落語界最長老のひとり、笑福亭松之助師匠が演じている。この人は世間的には明石家さんまの師匠としてよく知られている。調べてみたらまだ存命のようだ。自分はこの人が噺家としてどんな芸を持っているのか?接したことが一度も無いので知らない。

つみきの小学校の同僚でつきあってる彼(手塚とおる)、ただの爽やかな人なわけないと思ってたらやっぱりキモい人だった。退いた。即効で縁を切ることをすすめる。

気まずい醜悪な場面の連続。初めて家につみきの彼を呼んで一家団欒の食卓での爺さんの食べ方の汚らしさが酷い…。家庭内老人介護の現実、これはヤだな。借金取りが家にまで来てドアをガンガン叩くとか、最悪で本当にヤだな。

つみきみほが担任の教室、朝から飼育係のことで学級内の話し合い。毎日遅刻してくると糾弾されている男の子が「染谷将太じゃないのか?」って思って調べてみたら染谷だった。染谷のキャリアに「蛇イチゴ」も書かれていた。こんなに子役のころからやってたんだな。このシーンは調子のいい嘘が嫌いなヒロインのラストシーンへの伏線か。

映画として各場面にアイデアが満ちていて斬新だった。女性監督ならではのリアルに醜悪なものが見えている嫌な眼差し。こんな脚本が書けるって体験してきたことか?怖すぎる。上手すぎる。こんな映画はもう見ないで、もっと楽しい気分になる映画を見ていこう…。

2 件のコメント:

  1. ブロガーさんおひさしぶりです。
    来週新山詩織の2ndアルバムがでますね。
    ただ気になるのは、8/12が作曲してないという。
    買おうと思っていたのですが、ほぼ他者の作曲となると、、、
    現在思案中です。
    p.s.MV集が出るらしいですね。楽しみです。

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  2. それ少なすぎてショックだな…。CD売れてないからかな。そういえば家入もぜんぶ西尾曲だった。でもまあアルバムは買うかな。

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