この映画は富田靖子主演映画の多くがそうであったように大林監督が撮る予定だった。事情によりCM製作が主だった市川監督に第1回監督作品のチャンスが回ってきた…って今回調べてみて初めて知った。
これが大林作品だったら見ていないと思う。富田靖子主演作品はこれしか見たことがない。
家庭の不幸があって田舎から東京の叔母を頼って上京。神楽坂芸者の置屋でお運び女中仕事をしながら高校へ通うヒロイン。ほとんど喋らない陰気で偏屈な少女を富田靖子が演じた。
富田は数年前にNHK大河「江」で春日局役で最後のほうで少しだけ出てきたのを覚えている。40代になった今でも映画にドラマに活躍中だけど自分はどれも全然見てないな。
高嶋政宏が高校の同級生ボクサーで出演。今とそれほど変わってない。芸者ねえさん伊藤かずえも変わってない。室井滋も今とほとんど同じ。だが、伊藤と駆け落ちするエリート社員イッセー尾形がすごく若い!
映画「つぐみ」でつぐみの姉だった白島靖代がやっぱり美人。富田と白島のふたりだけが、能天気バカ生徒だらけの崩壊学級内で暗くて浮いている。ヒロインが京葉線に乗って学校をサボるシーンの白島が謎。教室から居なくなるし、何か悲劇的なことでも起こったのか?以前からよくわからないシーン。
白島はもうだいぶ昔に芸能活動を引退しているが、クラスのリーダー美少女だった女優も90年前後に引退している。出演者の何人かはすでに故人になっている。
この映画、富田が原由子の歌をバックに浦安や渋谷を散歩する映像が好き。かつての自分もこんな感じ。音楽聴きながら行くあてもなく東京をさ迷い歩いてた…って、それは今も同じか。
80年代の東京は今では変わったところも多いけど変わってないところも多い。この時代の地下鉄のホームがすごく古い。八百屋お七の墓は自分も自転車で2回ぐらい行ったことあるけど、この時代とは周囲の風景が違っているような気がする。
あと、ボクサー高島がランニング中に橋の下で、日舞を練習するヒロインを目撃するシーンも強く印象に残っている。
この映画、クライマックスの文化祭がハプニングによってほろ苦い結末を迎える。ヒロインの気持ちがわかるボクサー高島は群集の中にへたり込んだヒロインを連れ出す。江戸の町を火の海にした「八百屋お七」のようにキャンプファイヤーに火を放つ。あと少しのところで満たされなかった想いを満たす。このシーン、ポリタンクをそのまま投げ入れるのは、思わず「あ、危ない」と声がでそうになる。
市川準映画のヒロインたちはみんな他人の話を聞いているようで聞いていない、なんともいえない表情をしている。都会のカオスな人々をスルー。ずっと思いつめたような顔をしていたヒロインが最後に母親と海岸で「東京はいろんな人がいる」と笑っているシーンを見ると、こちらも自然と笑顔になれる。何か情熱を傾けられることに出会うことは、こんなにも人を変える。
この映画、クライマックスの文化祭がハプニングによってほろ苦い結末を迎える。ヒロインの気持ちがわかるボクサー高島は群集の中にへたり込んだヒロインを連れ出す。江戸の町を火の海にした「八百屋お七」のようにキャンプファイヤーに火を放つ。あと少しのところで満たされなかった想いを満たす。このシーン、ポリタンクをそのまま投げ入れるのは、思わず「あ、危ない」と声がでそうになる。
市川準映画のヒロインたちはみんな他人の話を聞いているようで聞いていない、なんともいえない表情をしている。都会のカオスな人々をスルー。ずっと思いつめたような顔をしていたヒロインが最後に母親と海岸で「東京はいろんな人がいる」と笑っているシーンを見ると、こちらも自然と笑顔になれる。何か情熱を傾けられることに出会うことは、こんなにも人を変える。
この映画は公開時に「どつぼにはまって、さあ大変。」というコピーがついていたらしい。意味がわからない。富田靖子と石原さとみは似ている。
原由子の主題歌もいい。自分は長年この歌のタイトルを知らなかったのだが、今回「あじさいのうた」だと知った。アイドル映画のエンドロールはこうでなくっちゃと思う。市川準の日本的情緒を織り込んだアイドル映画はどれもすばらしい。富田靖子が一番輝いていた時代に撮影された、一番輝いた市川準映画じゃなかったかと思う。
「BU-SU」のクライマックスは「キャリー」に似ていますね。この前このブログでも取り上げられていたので思い出しました。
返信削除富田靖子。福岡出身、AB型、オーディション優勝、そらせない眼力、不器用で真剣、努力家・・・同郷の誰かさんとかぶりませんか?「BU-SU」とは対照的にデビュー作「アイコ16歳」(実際は14歳で主演)は、いまみると天然さと無垢な表情がまるで能年玲奈そっくりです。
アミューズ所属なので、(福山雅治は富田主演の『ほんの5g』でデビューしています)CDも出していて、BOOKOFFでも見ることがあります。
特に「さびしんぼう」をフューチャーした2ndは幼くて不器用だけど、ちょっと切なく胸に迫る名盤ですよ。
あ、それ新説。文化祭に強引に出されて乗り気になったらあのラストで笑われて…、燃え盛るキャンプファイヤーはちょっとしたし返し。
返信削除富田が福岡だって知らなかった。「アイコ16歳」はかなり昔に少しだけ見た記憶があるけど、ほとんど覚えてない。センスが古くて付いていけないって思った。「ほんの5g」はまだ見てない。福山のアニキが出てるって知らなかった。「さびしんぼう」は今まで何回か手に取ったけど、大林作品なので不安でまだ見てない。
「BU-SU」は1987年のキネマ旬報ベスト・テン読者選出第2位。
返信削除「さびしんぼう」は1985年のキネマ旬報ベスト・テン読者選出 第1位。
当時の富田靖子は映画ファンには絶対的な人気があったみたいです。
じゃ、「さびしんぼう」を次に見る候補に入れよう。どんな映画か何も知らないけど。
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