昨年の秋ごろ、この本を手に入れた。文藝春秋×PLANETS「あまちゃんメモリーズ」という1冊。まるでマニュアル本かのように分厚い。2013年10月発行で定価1,300円。信じられないことに108円で手に入れた。あまり読みこまれた跡のないキレイな本だった。あまり売れなかったのかな…。
「あま本」でありながら能年玲奈の写真はナッシング。有村架純のグラビアとインタビューこそあるものの、その他の出演者たちはすべてイラストで乗り切ってる。NHKのあずかり知らない、全話、全登場人物、用語解説、あまちゃんラヴァーズ(業界関係者、評論家、社会学者、著名人)たちによる「あまちゃん」愛の詰まった寄稿文によるあまオタによるあまオタのための「あま本」。
この本、再放送を機にやっと開いて見たのだが…、いろいろ知らないことだらけで面白すぎた!
まず、有村架純。この子、カワイイ偏差値でいったらたぶん69ぐらいは行ってる。けど自分はあんまりタイプでもないので追いかけてもいない。最新映画がコケないか心配だ。
この本、初めて知ることが書かれていた。有村は語る、
本当は春子ではなく、ヒロイン(アキ)のオーディションを受けたんです。でもそれがきっかけで、若い頃の春子に選んでいただきました。正直、最初に話をいただいたときは、「回想シーンだから、ちょっとしか出られないのかな……」と、想像していました。そうしたら、ちょっとどころじゃなく、思った以上に春子の過去が描かれていて嬉しかったです。自分の中でも、NHKの朝ドラだから「よしやってやろう!」って気合が入りましたね。もしちょっとのシーンだったとしても、絶対に印象に残るお芝居をしたいと思っていました有村、なかなかポジティブで野心的。小泉今日子を見て似るように研究したそうだ。楽屋で一緒になった小泉今日子から「春子はすごく好評だよ。ありがとう。」と直々にいわれたそうだ。このドラマは有村にとっても転機になった1本だった。
実は、この本を買った一番の理由は、能年玲奈にとって月影千草ともいうべき演技の先生・滝沢充子女史のインタビューがあったから。滝沢先生は「Jメソード」という独自の演劇論で能年を指導し「あなたは女優にならなきゃ生ゴミ」という、「そのとき歴史は動いた」クラスの名言を残した人物だ。滝沢先生、能年玲奈との出会いを語る。以下一部引用、
私は以前、能年玲奈さんが所属する事務所のタレントの演技レッスンを担当していました。あるときそこへ能年さんが見学にやってきたんです。
まだ中学生だったから、14、5歳だったと思います。当時、彼女は地元の兵庫で学校に通いながら、土日になると仕事をしに東京へ来ていました。卒業後は東京の高校へ入ることが決まっていて、それを機に私のレッスンを受けることになったんです。ただ、彼女は何度も見学に来ていながら、なかなかレッスンを受けることを決めなかった。見学に来る子はたいてい、2回くらいで受けるか受けないか決めるものですが、彼女はいつまで経っても「うーん」と首を傾げていました。それが逆に面白いなあと印象に残ったんです。あとで聞いたところ、モデルをやろうと思っていたのでお芝居には興味がなく、でも一応どういうレッスンか、見に来たものの、彼女には全然フィットしなかったらしいです。能年は14、5歳から能年だった!首を傾げたまま「うーん」と悩み決断できない姿は今とまったく同じゃん!w
能年は最初から他の子とは違っていたらしい、
玲奈は、ある瞬間ふいに、ということがよくあって。実際、いざ、レッスンしてみても、できないときは何にもできなくて「わかんない……!」と突っ立ったままになってしまうんです。普通は、もっとできないことをごまかすものなのですが、彼女はそれをごまかさないんです。その反面、できるときには誰よりもできるんですよ。この落差のあまりにも大きいところが面白くて。今どき、こんな不器用な子っているんだ、というのが最初の印象でした。能年がありえないぐらいにバラエティで固まってしまったり不器用なのはキャラを演じてるんじゃない。最初から天然に不器用だった!そして、「生ゴミ」発言から能年は変わった。
それからの玲奈は、レッスンに熱が入るようになりました。何がはじまったかというと、レッスンの帰りに私を待ち受けて、その日にわからなかったことを全部質問してくるようになったんです。あのとき先生はこう言ったけれども、あの言葉の意味はどういうことなんだ、というような質問を延々はじめるんです。ほかのレッスンの生徒たちがみんな帰っちゃっても、2時間くらい喋っていましたね(笑)。彼女いわく、それでも遠慮していたらしいです。思いついたらすぐに先生に連絡をしたかったけど、遠慮していて、先生のメールアドレスを聞き出すのに1年かかったと(笑)。生ゴミ先生の語る能年の劇的変化。女優能年玲奈誕生の瞬間だ。「うぉ~たぁ~」、サリバン先生の「生ゴミ」という言葉にヘレン・ケラー能年は感電した。不器用な能年、愛おしい…。
「あまちゃん」再放送の第1週目を見ていて、能年がまだいきいきと天野アキになりきれていないように感じたのだが、その答えは滝沢先生の口から語られていた。
最初の頃、玲奈はアキの役づくりに戸惑っていたんです。例えば、1週目の撮影では「もっと明るく、もっと明るく」と言われていたらしいのですが、さっきまでママ(春子)と喧嘩していたのにその後にっこり笑うことなんかできない、と悩んでいたんです。久慈で撮影しているときにメールで悩みを相談されました。私は、「でも、それは玲奈だからできないのであって、それができるのがアキちゃんなんだよ」と助言しました。では、どういう人間だったら笑える人間になるのか?ふたりでメールをやりとりしながら考えた結果、目の前のことになると前の日のことを忘れちゃう子なんだ、という解釈に行き着いたんです。それからようやくアキという役に飛び込めるようになったらしいです。能年によれば滝沢先生は「毎晩本読みに付き合ってくださった」らしい。滝沢先生によれば「演出には一切口を出していない」「あくまで役者のメンテナンス」だそうだ。
インタビューでは他に、「オーディションは落ちたとしても、能年玲奈という面白い子がいたと思わせる方法を考えアピールするようにした」とか、「あまちゃんでの白目とか変顔もトレーニングしてた」とか、あまちゃんでの能年の魅力爆発は滝沢先生との二人三脚によるものだったことがわかる。
「あまちゃん」は奇跡のようなドラマだったけど、多くの情熱と才能を持った役者たちが集まって、起こるべくして起こった奇跡だったんだなと思う。さあ、ふたたび壮大なあまちゃんサーガの始まりだ。
この本、今日行ったあざみ野のBOOKOFFでは500円なり。
返信削除朝の再放送だと録画しても時刻表示が入ってしまう。それで土曜の連続再再放送も一緒に録画して、時刻表示のない方をメインとして残すことにしました。実は中盤を除くと既に録画しているんですけどね。こんどは容量の大きなBS画像で永久保存版を作ります。能年ちゃんは天使!! あと半年、この幸せが続く。
おっと!その手があった。欠落してる第3週まで録画して、あとは毎日見る感じ。ガンダムみたいに再放送でさらに在野の研究が進むかもしれない。
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