2015年3月29日日曜日

芥川龍之介 「羅生門」(大正6年)

芥川龍之介の「羅生門」(大正6年阿蘭陀書房)のほるぷ初版復刻本を108円で手に入れたので読んでみた。自分が芥川龍之介を読むのはおそらく12歳か13歳のころ以来。今読んでみても相当に難しい。「羅生門」「鼻」「芋粥」は有名な短編小説だけど、これを子どもが読んで理解できるわけがない。

芥川が25歳のときに書いたものを集めた1冊だが、これを読むと芥川は天才だと思う。こんな文章は凡人には書けるものではない。

この初版本、誰でも読める漢字に振り仮名があるのに、しばらく考えてもまったく読めない漢字に何も振り仮名がない。読めない漢字はそのまま読み飛ばした。完璧には理解できてないと思う。
「父」(友人のお父さんの昔話)、「猿」(海軍での泥棒事件)、「孤獨地獄」(伯父が禅僧から聞いたはなし)、「運」(清水に願掛けにいくのもほどほどにという話)、手巾(亡くなった教え子の母親と演劇論の話)、「尾形了齊覚え書」(江戸時代のキリシタン3面記事)、酒蟲(中国の故事)、「貉」(むじなが人を騙すようになった始まり)、これは印象の薄い作品なので特に感想も無い。

  • 羅生門 やっと盗賊になる決心と論理武装を得たうぶな新人盗賊が雨の中を外に駆けてゆく様子を伺う老婆の描写が印象的。
  •  夏目漱石先生も褒めたという芥川の代表作。理解できない感情を説明する芥川の筆の力量がすごい。
  •  昆虫ホラー。虫が嫌いな人は読めない1篇。芥川の手にかかると何でも文学作品になるな。
  • 煙管 江戸城に登城するたび煙管をねだられる前田の殿様と、ねだる側の坊主の心理を描く。
  • 忠義 江戸城内で細川の殿様が板倉修理に斬り殺された事件を、板倉の家老に焦点を合わせて書いた歴史小説。
  • 芋粥 平安時代の冴えない男のささやかな欲望をあまりにも簡単に満たす金持ちの横暴。なんてことしてくれてんねん。

どの作品もちゃんと読んだのは初めてだった。一番印象に強く残ったのが「芋粥」。誰もテーマにしたことのない感情を書いてると思う。大人になってからじゃないと描写をイメージできないと思う。
細川の殿様が江戸城内で斬殺された事件が史実としてあったということを、「忠義」を読んで気になって調べてみて初めて知った。有名な事件らしい。知らなかったの自分だけ?「煙管」も自分的にヒットだった短編。ま、ストーリーよりも芥川の文章力に感心する。

2 件のコメント:

  1. 古本屋で手に入れた「ザ・龍之介」持ってます。1ページに四段組みと細かく、少年マガジンぐらいの大きさです。芥川は夭折したのでこんなサイズで納まってしまうんですね。仮にいままでの赤羽ブログを全部活字化したら、もっと厚くなりそう。
    芥川で好きなのは「六の宮の姫君」。あとは「蜜柑」「芋粥」「羅生門」がいいです。「芋粥」。以前はとろろ汁みたいなものを想像して、これなら3杯ぐらいはいけるかなと思っていましたが、山芋を甘葛の汁で煮た粥とあるので・・・さとうきびとかはちみつで煮た山芋の粥・・・なんか主人公じゃなくとも無理な気がしてきました。

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  2. あ、その本見かけたこと何度もある!まさか全作品を収録してるとはとても思えなかった。目が疲れそう。自分のブログは記事総数が2200越えてます…。自分がこの世に残した唯一の痕跡になるかも。

    芋粥、それは3杯もキツいかも。しるこみたいなもんだったのか…。

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