川本真琴ワンマンライブ@渋谷CLUB QUATTRO

最近めっきりライブに出かけなくなった。都心へ行くと人が多すぎて疲れるし億劫だし。

しかし、川本真琴のワンマンはレアなので意を決して週末の渋谷へ向かった。川本真琴はここ何年も沈黙を保っているイメージだったのだが、一昨年からワンマンライブをやっていた。今回のワンマンのチケットはまだ暑かった時期に買っておいたもの。390番台だった。川本真琴のライブに行ってみたいという長年の夢がかなったわけだ。

自分が川本真琴を見たのは過去2回、2010年の神聖かまってちゃん主催イベント渋谷AX、と昨年の北海道岩見沢JOIN ALIVEのみ。曲もすべて知ってるわけではない。

川本真琴生誕40周年ということで、やはり思っていた通りに年齢は高めの客層だった。男性が多かったが若い女性もちらほらいた。この日は遠くから来ていた人もいたようだが、当日券もあった。

川本真琴は90年代後半に大人気だったシンガーソングライターだが、アニメ主題歌の影響で今の若者たちにも浸透している。入場してビールを片手に時間を過ごす。アンビエントのような曲がかかっているのだが、ヒストリカルな音声テープなどが流れてドコドコとジャングル奥地をさ迷い歩いているようなSE。惑星ソラリスみたいな電子音。これには客も呆気にとられたのか待っている間がすごく静かに感じられた。

開演予定時刻の19時30分を20分ほど押して客電が消えると歓声と手拍子。バンドメンバーが入場、あれ？みんな動物のお面のようなものをしている。

川本真琴がオレンジ色のラグランT姿？で登場。J-POPのレジェンドだと思っていたけど、J-ROCKのレジェンドだと思った。ハードなロックだった。パンクも感じた。1曲目はエレキギターでまさかの「ギミーシェルター」だった。2曲目は「音楽の世界へようこそ」収録の「夜の生態系」だったが、このバンド編成だとずいぶんと印象が違って聞こえた。

動物のお面を取ると「FRAGILE」のイントロが始まった。この曲は川本真琴のすべての楽曲の中で最も壮大な1曲だが、まさかこれを聴けるとは思っていなかった。ミラーボールが回転し、上手側のDJが何やらドスドスと始めたのだが、これはFRAGILEの壮大な間奏の一部だった。クラブmix風アレンジか？このDJがほとんど「事故」といっていい出来だった。「ボリュームあげていこうぜ！」DJ「ゴメン！」「失笑」「……。」何このハプニング？ぐだぐだしてね？

アコギに持ち替えて「DNA」が来た。「へーそまがりでほっとくそーら～♪」この人の歌声は誰も似ている人が他にいない。この曲が聴けるとはライブに来てよかった……。つづいてスタンドマイクでYUKIみたいな踊りが付いた曲。この曲は「願いがかわるまでに」に収録された「That star in the vicinity of the moon」という曲だったようだ。

そしてMC　「バナナほしいひとー？ははは（笑）MCは何も考えてこなかったけど、喋りますか……。うーん、えーと、うーん……」　頭を振り絞っても何も出てこなさすぎ。

「今年はリマスターが出たんで昔の曲もやってます。」「3曲目ぐらいで白い灰になった感がありますけど…。もう1回やる？カラオケでFRAGILE2回とか歌う人いるんですかね？」「家族と年に2回ぐらいカラオケに行くんですけど、ママが採点するやつが好きみたいで」「あ、94点とか取ったことある！何だっけ？アナ雪だ！」（ここでキーボードがピアノのイントロを奏で始め、川本が歌おうと試みるも歌詞わからず断念。）「歌うときは真剣ですよ。エルザになった気持ちで！」

「次の曲はアナ雪より大変ですよ！」といいながらハンドマイクで「桜」が来た！まさかこの曲が聴けるとは思ってもいなかった。この曲は動画サイトで「Mステ」で歌詞を間違って迷走する映像でしか見たことが無かった。「ほとんど歌ったことがない」「カラオケでも歌ったことがない」というから相当にレア！

川本のカラオケトークがつづく。「一人で行ったりするんです。独身40歳で」。バンドメンバーによると「DNAとか入れると本気で歌ってくれる」「NOKKOの『人魚』がすごい」とのこと。「私、レベッカは全部いけるんですよ」と川本。レベッカもJ-ROCKレジェンドのバンドのひとつだな。レベッカの「フレンズ」はYUIもカバーしたことあったな。レベッカは「moon」もかっこいいのでカバーしてほしいな。

ここでまたしてもDJが事故。しかたなく川本がDJ席でトーク。川本を近くで見れた。このとき川本がニットのショートパンツ姿だと知った。「この先ライブが続けられるんですかね？喋ろっか？どこから来たの？」とマイクを客に向ける。「栃木からです」と答えていた女子がいた。遠くから来てるんだな。

ミシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」のサビ風なメロディーを繰り返すイントロの曲が来た。これ、調べてみたら「ぱいぱいでか美」というアイドルのために書いた「少年」という曲らしい。しかし何ちゅー名前のアイドルだ。

「後半戦になってきましたよー。時が過ぎるのは速いもので、今年もあと26日。このまま何もしないで帰っちゃうんじゃないよね？」「どこの県？府？都？道？」「今夜、キミのハートを盗みに来ました！」　MCは何も決めてないって言ってたけど、この決め台詞は用意していたようだ。
ここからがイッキのクライマックス！「1/2」「first flight night」「フロントメモリー」という渋谷のロックレジェンドな一夜だった。「1/2」はオーディエンス全員で歌った。「フロントメモリー」ではひと口かじったバナナを片手に歌っていた。最後に客席にバナナを投げてた。パンクだな。

アンコールでは自身がイラストを書いた生誕40周年Tシャツにメガネ姿で登場。「今年はけっこうライブやった」「フェスとかちょいちょい出た」「来年はレコーディングをしようと思う」（客フロアから拍手）「そのぶんライブが疎かになるけどね（笑）」

川本がメガネ姿だった理由がわかった。岡村ちゃんの「ぶーしゃかLOOP」をカバーするからだった。客から二人を選んでステージに上げた。ライブで素人をステージに上げるの、自分は過去何度か他のアーティストのライブでも見てきてるけど、大抵が事故映像。何も語るまい……。
そして、ゴロニャンズの4人が加わって、川本もまだ聴いてないという出来立てホヤホヤのまだ誰も聴いたことのない新曲「聖クリスマスだよ～ゴロニャンず！」で楽しげに終了

と思いきや、「じゃあ、もう1曲だけやります」とダブルアンコールでまさかの「愛の才能」だ。川本の痩せたカラダに白いTシャツとアコギが似合う。今日の渋谷に集まった客は勝ち組だったと言っていい。泣いた。デビュー曲から最新曲までまんべんなく聴けた。

「またねー」とステージしも手に消えた川本真琴、かっこよかった。レジェンドだと思った。21時53分、ライブ終了～。楽しかったし、多幸感に満ち溢れたライブだった。

川本真琴　渋谷 CLUB QUATTRO 2014年12月5日セットリスト
01. ギミーシェルター
02. 夜の生態系
03. FRAGILE
04. DNA
05. That star in the vicinity of the moon
06. 桜
07. 願いがかわるまでに
08. 少年
09. gradation
10. FUNCTION
11. 1/2
12. first flight night
13. フロントメモリー
アンコール１
01. ぶーしゃかLOOP
02. 聖クリスマスだよ～ゴロニャンず！
アンコール２
01. 愛の才能
馬場一嘉（G）、清水玲（B）、茶谷雅之（Ds）、野村陽一郎（G）、葛岡みち（Key）

「急に読めって渡されたんですけど」と、2015年1月12日の新代田FEVERでのライブの告知もあった。

「川本ぉー！かわいい！」と男客から声がかかっていた。40代で子供がいるのにレオタード姿さらしてるYUKIをかわいいと言うことが許されるのなら、川本にもかわいいと言っていいはずだ。もっと女性ファンが多くてもいいのにと思った。夏フェスの常連になってほしい。