先日このCDを見つけたので拾ってきた。500円だった。おそらく全集か何かからバラしたもの。ジャケットのペラ紙1枚しかなく解説書が存在しないCDなのでちょっと逡巡したのだが、何枚かあった中から自分の好きな演目だけ買ってきた。
「大山詣り」は展開がパンクの匂いがする。クドカンドラマのようなメチャクチャぶり。喧嘩っ早い江戸の男の口調が志ん朝ならではの見事な出来栄え。法螺話の箇所が見事。
「粗忽の使者」はさらにバカバカしい。
自分はこの噺を岩井俊二監督の「花とアリス」で知った。ヒロイン鈴木杏が憧れのセンパイを追いかけて落研に入るのだが、このセンパイが絶望的に落語の才能がない。面白い顔の部長が文化祭でサイテーに下品な「粗忽の使者」をやっていた。この噺をバックにフられるヒロインのブサイク泣きがみごと。
志ん朝の「粗忽の使者」も見事で映像がなくても関心する。このサゲは現代人でも面白いはず。
船が沈んで旦那が死んだと早合点して脱線しまくったお悔やみをする下りとか最高。
医学の発達していない江戸時代は歯痛のときは神頼みしかなかった。戸隠様に梨をお供えする風習をまず説明しないとサゲがわからない。
けど、やきもち焼きのおかみさんの描写とか志ん朝ならではで「佃祭」が自分は好き。
「搗屋幸兵衛(つきやこうべえ)」は小言幸兵衛とも言う噺。それほど好きじゃないけど、志ん朝なら聴ける。
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志ん朝は自分の乏しい知識の中では、最高に上手な噺家だったと思いますね。
「江戸っ子」や「与太郎」を絵に描いたような表情も決まっていた。
でも桂枝雀とか立川談志の方が好きかな。志ん朝は立派過ぎて・・・
ひねくれているから癖の強い落語家が好きなのかも。
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枝雀も談志も偉大すぎる天才だけど、自分はあまり聴いてない。この二人に較べると志ん朝の芸は立派過ぎるかも。