自分にとって長年の謎だった映画を見た。黒澤明がソ連に乗り込んで撮影した「デルス・ウザーラ」だ。この映画、ずっとシベリアのタイガでのシーンが続く。極寒のシベリアでの撮影が過酷だったのは画面から伝わってくる。
そして当時のソ連といえば今の北朝鮮以上にヤバい国。多くの人が神経をすり減らして実現できた企画だったかと思う。
何も予備知識がないまま見始めた。1975年にしてはフィルムの状態が悪いなと思った。初めのほうはなかなか発色が安定しない。5日ほどかけてすこしずつ見た。それでも長く感じた141分。
人によっては「つまんない」って聞いていたけど、自分には面白かった。20世紀初頭の帝政ロシアの沿海州探検隊の様子が描かれている。
隊長アルセーニエフと、そこにひょっこり現れるゴリド人の老猟師デルス・ウザーラとの信頼と友情が描かれていく。デルス・ウザーラという人物の風貌がちょっと異様なインパクトがある。隊長はどこかクロサワ映画だからなのか仲代っぽい。森を知り尽くしたデルスの活躍によって探検隊は危機を乗り越えていく。時に陽気だったり不機嫌だったり。どこかドラえもんっぽい。違いすぎる容姿、文化も年台も超えて、二人が友情を育んでいる姿は感動的だ。
測量が主な任務だったらしいが仕事してる感じはあまりしない。探検の目的がよくわからないけど、こんな感じだったのか。ロシアの部隊は陽気で楽しそうだ。
「老い」もテーマなのかもしれない。目が衰えて猟師ができなくなったデルスを隊長はハバロフスクの自宅に招く。だが……、やがて悲しい最期がやってくる。親切裏目裏目…。切ない。
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黒澤の映画はカラー映画を撮るようになってからは冴えないという印象。「影武者」とか「乱」とかアップも殆どなくって色彩ばっかぎらぎらして誰が誰だか判別しにくい。
「デルス・ウザーラ」はテレビで半分見たような曖昧な記憶。ソビエト映画だったのね。
余計ごとですが、私の日本映画NO1は「さびしんぼう」(大林宣彦)です。実は黒澤明も気に入っていたと言われてますね。自分のスタッフを観に行かせたとか。
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次は「乱」を見ようと思ってた…。
「さびしんぼう」はまったく見たことがない。大林映画はちょっとヘンなイメージ。