林和という1908年ソウルに生まれたプロレタリア詩人をモデルにしたフィクション。
自分はどういうわけか小学生のころから松本清張をことあるごとに読んでいる。今でもときどき松本清張の文体に触れたくなる。清張が教えてくれる戦前戦後の教科書に載っていない歴史のお勉強。
この巨人がいなければ小学校中学校の教科書レベルでしか日本史を知らない大人になっていたわけだが 清張は共産党員とか革命家とかスパイとか教科書に載らない人々をものすごい熱意をもって取材している。小説として構成する力量に圧倒される。
日本の敗戦から米ソの進駐と政治的混乱とテロと分断と朝鮮戦争という流れについて前々からなんとなく知識が不足しているなと感じていたのでざっくり当時の朝鮮について知りたかった。
清張のほかの作品でもそうだが、アメリカ情報機関の謀略を告発し、まきこまれて運命を翻弄されていく人々に同情している。
今回ひさしぶりに松本清張を読んでみたけど テーマが重たくてまあそれほど面白いわけでもないけど読み終わったあとの満足度は高い。
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