2026年10月10日土曜日

内田康夫「後鳥羽伝説殺人事件」(1982)

内田康夫「後鳥羽伝説殺人事件」(廣済堂ブルーブックス 1983)という本を無償でもらってきたので読む。平成3年13刷。自分、内田康夫はもらい本ばかりで買ったことない。
この作品はなんと既に6回もテレビドラマ化されている。それは名作に違いない。

広島県内の国鉄三次駅の跨線橋で発見された女性の変死体。警察は不審な青年を追うのだが無関係…などの茶番の末に、絞殺された女性の遺留品から消失している古本の存在に気づく。
80年代初頭なので、刑事も目撃者も今の水準だとみんな品がない。「ブスだから覚えてた」とかそんな言い方は今の人はしない。

野上という刑事が実質主人公。エリート上司に嫌なものを感じつつ野心を持って事件を捜査。やがて事件の真相を知るかもしれない人物が次々と殺害。おそろしい連続殺人へ。

後鳥羽伝説って何?承久の乱に敗れた後鳥羽上皇は隠岐に流されるため護送されるときのルートを研究してたかつての女子大生が被害者。あんまり事件とタイトルは関係ない。

この作品はなんと浅見光彦が登場する第1作。東京都北区西ヶ原の自宅を捜査の過程で話を聴きにきた刑事の視界にするっと闖入してくる。
浅見光彦はこの時点で30代。官僚一族の次男おぼっちゃま。ライター業でスポーツカーを乗り回す。

自分は知らなかったのだが、浅見光彦には8年前に仁多町の旅館で土砂災害によって妹を亡くしていた過去があった。その事故が今回の連続殺人と関係している?

2時間サスペンスミステリードラマとして適切なストーリー。その動機はわりと古典的。
内田康夫も若いころは野心的なものを書いていた。ああ、このパターンか!
旅情と歴史ロマン推理小説として十分に楽しめた。浅見光彦は第1作からカンの鋭い名探偵だった。

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