2026年9月14日月曜日

ジェフリー・アーチャー「ロシア皇帝の密約」(1986)

ジェフリー・アーチャー「ロシア皇帝の密約」(1986)を永井淳訳新潮文庫で読む。
A MATTER OF HONOUR by Jeffrey Archer 1986
ジェフリー・アーチャー(1940 ―)はこの当時は英国下院議員で世界的人気作家だったので発表と同時に邦訳が出てた。
自分は高1のときこの新潮文庫で読んで以来の再読。今回読み返してみて、まるで内容を覚えていないことが判明。当時の自分の知識ではその内容がよくわかっていなかったのかもしれない。

英国陸軍を退役し休職中のアダム・スコット君は父のわずかばかりの遺産を相続。父はかつてニュルンベルクでナチス戦犯の警護を担当した将校だったのだが、ヘルマン・ゲーリング元帥の自死を手助けした疑惑により汚名を背負ったまま亡くなった。

相続したものに15世紀のリュブリョフのイコン「聖ジョージが竜退治」のニコライ2世時代の複製品があるのだが、この小さな絵画に米ソ二大国の諜報員が追いかける秘密が?

皇帝ニコライは自身と家族の命を守るために、イコンの複製をつくって本物のほうに重要な契約書面を隠した?!なんとそれはロシアがアラスカを米国に売却したときの買い戻し条項?!それはクレムリンは必死。アラスカを買い戻すことができたなら、ミサイル基地でソ連が有利。しかし条項の期限が迫ってる。

あとはスパイスリラーエスピオナージ。アダムくんは仲良くなったドイツ娘は殺されるし、スイス警察から追いかけ回されるし、なによりKGBの冷酷非情のロマノフが迫って来る。

このKGBの工作員たちがスイスでもフランスでもイギリスでも主権無視の我が物顔で自由に活動。偽警官になって権限もないのにバスを停めて捜査したり、ライフル銃で撃ってくる。ロンドンに帰れると思ったのもつかのま、銃撃され墜落。

たぶんアダムくんはハンサム。じゃなければ出会う女たちから親切にされない。相当に人たらし。英国外務省の諜報セクションに就職しようとしてるのだからそういう人材。

1966年が舞台の話。ブレジネフ書記長、リンドン・ジョンソン大統領、ハロルド・ウィルソン首相といった人物も登場。CIAの偉い人にブッシュという人がいるのだが、もしかして後の父ブッシュ大統領?

アダムくんはローレンスくんという友人も敵じゃないかと疑心暗鬼。こいつが外務省筋なのに頼りない。アダムくんはロマノフに捕らえられ拷問を受けるハメに。
最後の最後まで「皇帝のイコン」の行方とロマノフとの闘いにハラハラとイライラ。
2日でイッキ読み。「ジャッカルの日」「エトロフ発緊急電」のような面白さ。

「A MATTER OF HONOUR」という原題と邦題はまるで違う。原題は主人公の父の名誉と、ロシア人たちの祖国への忠誠と出世がかかった頭脳戦を表してる。
英国人は昔も今もロシア人が嫌い。はやく雌雄を決するべき。

0 件のコメント:

コメントを投稿