樋口有介「林檎の木の道」(1996)を中央公論社単行本初版で読む。これはBOで200円で売られていたので連れ帰ったもの。
これも幼なじみ美少女が不審死した件で高校生17歳男子が独自に真相を調べて歩く青春ミステリー。
樋口有介の場合、ミステリーと言ってもミステリー要素はあまりない場合も多いのだが、この本はしっかりミステリー。方々を(美少女といっしょに)歩き回って絞り込んだ犯人候補のアリバイを調べたりしてる。
これも会話がひたすらドライでおしゃれで面白い。こんな会話を現代日本の10代が現実にしているとは思われない。
この本、平成初期の高校生の夏休みの風景を描いてる。その文体はわりと文豪のように凝ってる。樋口有介にはそれなりにファンがいただろうけど、その本は東野圭吾のようには売れなかった。なんで?どの青春ミステリーも代わり映えせず同じようなものだったからかもしれない。
しかし、この「林檎の木の道」は青春ミステリー文芸書としてはわりと完成度が高い気がする。自分としては最初に読むべき樋口有介として十分にオススメできる。「ぼくと、ぼくらの夏」が好きだと言う読者には同じテイストのワンスモアとして最適。
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