2025年7月17日木曜日

西村京太郎「裏切りの中央本線」(2017)

西村京太郎「裏切りの中央本線」(2017 角川書店)というノベルズ本があるので読む。これもコロナ期にBOで55円で売られていたので「買わなきゃ損」と感じてしまって連れ帰った一冊。

1本目がキレイに終わる73ページ目まで、自分はこの本が短篇集だったということに気づかなかった。西村京太郎の短編を読むのは今回が初めて。てっきり最近出た本だと思ってたら初期短篇集。収録作6本すべて光文社、角川、徳間文庫の既刊に収録。

裏切りの中央本線(小説現代 1986年4月)
休暇で信州へ向かう西本刑事は大学時代の友人から「じゃあ一緒に行かないか?」「相談したいこともあるし」と誘われる。だがそれはアリバイ作りのため?OL放火殺人と私立探偵殺害事件と関連してる?岡谷、塩尻、松本をめぐる急行「アルプス3号」をめぐるアリバイトリック。

フィルムカメラとか出てくるので70年代ぐらいかな?と思って読んだ。それぐらい古さを感じる。十津川警部は西本の上司としてアドバイス程度の登場。最後は亀井刑事で終わる。

トレードは死(小説現代 1980年3月)
20勝できるエースの引き抜きトレードの裏工作の最中に起った殺人とアリバイ。

石垣殺人行(小説宝石 1977年7月)
妻とよりを戻すために石垣島へやってきた岡田。事故にみせかけて妻を殺せないだろうかと企むのだが…。三浦という若者も出てくるのでほぼ「ロス疑惑」だがロス疑惑よりも前に書かれてる?!

幻の魚(新評  1976年2月)
イシダイが釣りたい!と式根島の民宿に泊まり釣りをする男。露天風呂で同宿の女が「抱いて」と迫ってきたり、クーラーボックスを間違って持ち去られたり、民宿に泥棒が入ったり、マナーの悪い釣り客に絡まれ喧嘩となって海に投げ捨てられたりと不審な出来事に巻き込まれる。最後は鮮やか。

水の上の殺人(週刊小説 1980年7/25)
京都鴨川の料亭での刺殺事件。老舗和菓子店の主人と息子社長とホステスで大阪の社長を接待していたらしいのだが。

死への旅「奥羽本線」(オール読物 1984年2月)
上野から秋田へ向かったOLが失踪。婚約者が捜索すると鬼怒川で水死体となって発見。容疑者には浅草で飲んでいたアリバイ。最後は亀井刑事の活躍。

表題作と「幻の魚」「死への旅」は面白かった。この作風のままだったら西村京太郎がもっと好きになっていた。
だが、もう昔の鉄オタ豆知識トリックは現在の読者はまったくイメージできないだろうかと。

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