樋口有介「11月そして12月」を読む。1995年に新潮社より刊行、1997年にC★NOVELS、そして2009年に中公文庫化。
こいつも出かけた先にあったBOで「不良少女」といっしょに購入。110円。
オビや裏面のあらすじ書きを一切読まずにページをめくり始めた。これもミステリーとかハードボイルド探偵ものでない。大学中退後にカメラを持ってあちこちブラブラ歩いてるシロウくん(22)の家族を描くホームドラマ。
父は浮気、母は怒り、姉は不倫の恋に悩み自〇未遂で入院というハードな家族。
そして陸上アスリート少女と出会う。しかし、恋愛小説というわけでなく、22歳にしてはやたら落ち着いた大人な会話劇。
オビに青春小説とあるけど、それはこの本の説明としてあまり合ってない気がする。話にあまり起伏はない。静かな日本映画のような青春小説かもしれない。
シロウくんが出会った女の子の住んでいる場所が赤羽3丁目。赤羽駅、中央商店街、赤羽岩淵駅、荒川土手などの風景が登場。
樋口せんせいがあのあたりを取材に訪れていたらしいことを知った。南北線赤羽岩淵駅ができたばかりのころ。
すずらん通りに小さな本屋さんがあったことも描かれている。そういえば15年ぐらい前までその本屋さんへよく行ってた。調べてみても何という名前の本屋だったかもうわからない。
とても爽やかで苦い青春小説だった。この本は昨年に中央公論社から新装版で単行本が出てたことを知った。出版社の人たちも「この本を売らねば」と思ったに違いない。この本は自分もオススメしたい。
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