2025年4月8日火曜日

中公新書2748「物語 チベットの歴史」(2023)

中公新書2748「物語 チベットの歴史 天空の仏教国の1400年」石濱裕美子(2023)を読む。たぶん自分がチベットに関する本を読むのは人生においてこれで5冊目ぐらい。ダライラマ14世猊下の健康とチベット人とチベット文化の今後には昔から強く心配してる。

第1章は強大な軍事国家だった時代のチベット。そして仏教を国のアイデンティティとしたチベットとその王たちをささっと記述。
ソンツェン・ガンポ、ティソン・デツェン、レルパチェンといった偉大な王は、仏教の発展と布教に功績のあった者たち。政治と宗教のトップが王。

なのでチベット史における重要人物は全員仏僧。サキャ派、ニンマ派、カギュ派といった諸宗派とさらに分派についての簡単な歴史をずっと活字で目で追うことになる。ここ、正直自分は覚えきれない。
だが、このチベット仏教がモンゴル帝国に広まったことは世界史の重要事項。受験生もここは読むべき。

だが、自分がこの本で一番有用だったのは第2章「ダライ・ラマ政権の誕生」と第3章「ダライ・ラマ13世による仏教界の再興」。

ダライラマってハリウッドで映画にもなった現在のテンジン・ギャンツォで14世。だが、歴代ダライラマで重要人物というと17世紀のガワン・ロサン・ギャンツォ(ダライ・ラマ5世)と19世紀末から20世紀にかけてのダライ・ラマ13世しかいない。なんで?

高校世界史でも扱われる14世紀から15世紀にかけてのツォンカパとゲルク派から始まるダライラマ転生僧の王位継承は、転生者を捜索して教育してという法王の継承システム。
これでは法王遷化から次の法王が仏法をマスターして高僧に教育するまで20年はかかる仕組み。13世以前は夭逝してしまうダライラマが多かった…。初めて知った。

チベット史はモンゴル史、清朝史とも切り離せないことは以前から知っていたのだが、教科書で教わったことがなくちんぷんかんぷんだった。この本の第2章でやっとそこを詳しく教えてくれる本と出合えた。

そして英国とロシア、清国、国際政治に翻弄される13世。主権と自治と独立を確保するために奔走。国を護ることは大変。日本の大正天皇にも新書を送っていた。ということはチベット史も日本史学習に必要。

そして第4章は「ダライ・ラマ14世によるチベット問題の国際化」。
暴力を諫める法王猊下と、チベット人を暴力と金の力で抑え込む中国。
中国は世界の嫌われ者。ずっと世界から孤立。中国人と取引するやつは中国人と呼んでいい。自民党の政治家は目先の金にしか関心のない金の亡者で中国人。

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