思いついた今読む。日本ではアニメで有名だが自分は見たことない。あの悲劇的な最終回だけはバラエティ番組とかで見聞きしてるかもしれない。
ウィーダという名前はペンネーム。本名はマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(1839-1908)といい、フランス人を父に英国で生まれた女流作家。
児童向けだと理解して読み始めたのだが、19世紀英国はヒューマニズムと慈善事業の時代とはいえ、動物虐待と貧困家庭へのイジメが酷い。ブラバントでは犬や孤児はこれほど酷い扱いを受けていたのか?
フランダース地方産の老犬が主人公ネロ少年の祖父に拾われる。この老人と孫がとても優しい。今まで怒鳴られ叩かれこき使われてきた老犬パトラシエにはとても暖かいご主人様。
ついに祖父が働けなくなり亡くなってしまい、少年はひとりぼっち。そして家賃を払えず犬と一緒に路頭に迷う。
あ、欧州の教会って祭壇画とかって金払わないと見せないところが多い。ルーベンスのキリストの磔刑と降架の絵を見たいけど、そのお金は少年にとっては払えるものではない。
少年と親しい粉ひき屋少女。だが、父が乞食同然のネロに冷たい。孤児少年が娘にふさわしくないにしても異常に冷たい。火事の冤罪かけたりとか悪質。いくら悔い改めたところでこいつは許されない。町の有力者と言えどもこいつに追従してネロに門扉を閉ざした村人たちも有罪。
そして最悪のラスト。少年は老犬と一緒に疲労凍死してる状態で発見。こんなの子どもに読ませていいのか?酷薄すぎる社会。ある意味、令和日本。
この本には「ニュールンベルクのストーブ」という作品も収録。「フランダースの犬」と同じぐらいの長さ。
子だくさん貧乏家庭のオーガスト少年は、先祖代々大切に使ってきたストーブ(名陶工によるお宝の一品)を父が借金のために安価で売り払ってしまう。それはどうしても嫌だ。
ストーブの内部に入ったままチロルからバイエルンへ。汽車と船の旅。そしてファンタジー。最後には王様の御前。
これは「フランダース」みたいな救いようのない不幸話とは違って、幸せラスト。
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