2024年8月31日土曜日

本田翼、ペナンをゆく

8月19日・26日放送の「鶴瓶の家族に乾杯」は海外スペシャル。2週に渡って鶴瓶師匠とゲスト本田翼マレーシア・ペナン島(ジョージ・タウン)できまぐれに歩き回って人々に凸。これは6月24日に収録したらしい。
たぶん、多忙な師匠も本田も、事前にマレーシアの知識を勉強する時間もなかったに違いない。短時間の滞在だったに違いない。

まず、鶴瓶師匠と本田翼というコンビが、ばっさーオタならついエモくなる組み合わせ。かつてTBS「A-studio」で毎週MCをやっていたペア。
当時20歳だった本田翼の何がすごいかって、鶴瓶師匠に対してもタメ語だったということ。さすがだ。愛嬌さえあればなんでもできる。
マレーシアはマレー人、中華系、インド人による複合多民族国家。異文化イスラムで家族に乾杯って、ゲームとマンガしかやってない本田翼にはハードル高すぎないか?

師匠といっしょに街を散歩。本田の最初の挨拶が「スラマッパギ!」
そこにあった道教寺院に参拝。管理してるおばさんがわりとビシバシ厳しく、師匠の参拝マナーを指導。師匠も本田とMCやってたときから10年以上経ってて72歳。だいぶ髪の毛もなくなったな…。
その一方で本田はあまり雰囲気が変わらない。
本田は単身になると同年代か若い世代と話をするべく、若者がいそうな場所を求めて歩く。
この番組は本当に行き当たりばったり。事前にスタッフが若者がいそうな場所とか何も調べてない?

そもそも東南アジアの人々は暑い日中はほとんど出歩かない。(日本も夏は夕方4時から出勤し23時台に帰宅するように考え方を変えるべき)

ちなみに、本田翼はハトの群れが苦手らしい。いや、それは誰もが苦手かもしれない。
街のアイスクリーム屋の店員に話しかけるとパキスタン人。なんと本田と同じ年。

そこにあったモスクにも入ってみる。観光客女性は肌の露出を隠さないといけないので、フードのついた上着を貸してくれる。女子学生によるコーランの詠唱に目を丸くする本田。自分もまだ一度もモスクには入ったことがない。
マレーシア人はドリアンだいすき。自分は幸いなことにまだいちどもドリアンを食べたことも臭いをかいだこともない。
今回の本田の最大の試練が、お屋敷町の豪邸に突撃訪問をすること。本田も「渋谷の松濤でピンポン押すようなものですよね?!」とビビる。
NHKはそんなことをさせるのか?それって下手をすると外交問題にならないか?

だが、そこは一流の愛嬌を持った美人本田。たまたま香港系で親日的な、子ども連れの若い奥様を引き当てた。車で帰宅してきて門を開けるタイミングでインタビュー交渉。
ふつうなら断られるはずだが、本田の服装身なりや美貌を瞬時に値踏みしたのかもしれない。この若奥様の豪邸がすごすぎる。そして多少は日本語知識もあった。日本にも行ったことがあった。
後日、本田翼のインスタアカウントをチェックして330万人フォロワーもいるインフルエンサーモデル女優だったことを知り驚いた子どもたち。
あとは、空港からバスで市街へ向かう途中にあって気になったという路地を散策。地元民若者と触れ合ったり。
いや、危ない場所とかに紛れ込まなくてよかった。マレーシアにはそれほど危険なスラム街とかはないのかもしれない。
いや、本田翼に感心しかしなかった。さすがの愛嬌力と美貌力。
ペナンの人々と比較すると本田がすごく色白だった。多民族都市の人々であっても、本田を一目見て外国人だとわかったに違いない。

2024年8月30日金曜日

佐木隆三「小説 大逆事件」(2001)

佐木隆三「小説 大逆事件」を読む。別冊文藝春秋2000年春号と夏号に掲載されたものを大幅加筆して2001年に単行本化されたものの2004年文春文庫で読む。これは2018年にBOで108円で購入した6年積読本。今になってようやく読む気になれた。

明治43年(1910)の「大逆事件」は小学生でも名前は知ってるけど、日本近現代史の闇の中の闇。読むのには相当に覚悟がいる。
佐木隆三(1937-2015)はオウム事件の100人の被告たちの公判を傍聴し続けるうちに「大逆事件と似てるな」と感じ始め、資料を集め、この事件について執筆を開始。

自分、「大逆事件=幸徳秋水」という中学日本史レベルの知識だけしかない状態で読み始めた。まったく結末を知らない「無」の状態。

この本は「小説」ということなので、前半は明科製材所の宮下太吉と屋代町の新村忠雄の爆裂弾の製造とテストをめぐる会話、幸徳秋水菅野スガの自由恋愛や千駄ヶ谷の自宅に集う人々のやりとりが断片的に続く。たぶん、ほとんどの読者が「?」ってなる。

しかし、本の後半では逮捕された人々の供述調書と予審の記録が列挙される。ここを読むに至って、ようやく事件の全貌がなんとなく見えてくる。なんとなくだが。

幸徳秋水とその他25名。なんと24人に一審非公開の大審院で死刑判決(その後に12名を無期徒刑に減刑)。
実際に爆裂弾の製造とテストをしてた宮下太吉と新村忠雄は有罪なのはゆるがないが、ちょっと言動が過激だったにすぎない菅野スガと古河力作の死刑判決も重すぎる。具体的な計画立案もしてない。こんなの実行できると思えない。
ましてや幸徳秋水はリーダー各でもなんでもない。弁護人に充てた手紙を読めば至極まっとうな意見を述べている。

世間にはほとんど詳しい情報が明かされなかったこの事件に、新聞の校正係でしかなかった石川啄木が高い関心。
啄木が平出修弁護士に聴いた話だと、「自分が裁判長なら宮下、新村忠雄、菅野、古河は死刑、幸徳秋水と大石誠之助医師は無期、内山愚童は不敬罪で懲役5年ぐらいが相当で、あとは無罪」という意見だったらしい。
幸徳に爆裂弾の製法を教えたとされる奥宮健之はまさかそんなことだけで死刑になるとは思ってもいなかっただろう。

爆裂弾のブリキ缶を作っただけで事件に連座してしまった新田融の懲役11年、薬研を借りてきただけの新村善兵衛の懲役8年も重すぎる。このふたりはほぼ巻き込まれ事故のようなもの。痛恨。

社会主義や無政府主義を吹聴するけしからん危険なやつだから死刑!という方針に従って行動した検事と予審判事の罪は重い。それにスピード結審すぎる。

明治憲法下の刑法73条「(皇室に対して)危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」を適用しようと結論ありきの決めつけ。容疑者を広げて、シャカリキにやらんでいい冤罪事件を創出した検事たちの名前を記憶するべき。大審院判事で裁判長の鶴丈一郎、検事総長の松室致、司法省刑事局長の平沼騏一郎といった名前はしっかり記憶するべき。

あと、宮下の死刑執行に立ち会った看守が、宮下が「無政府党万歳」と大声を発したその時、とっさに床を落とすハンドルを引いた…というのも悪質。そんなこと看守がシャカリキに得点稼ぎするようなことじゃない。

大逆事件は日本史の暗黒冤罪事件。陰惨なあまりテレビドラマや歴史教養バラエティ番組などで取り上げられない。なのでこの本を読むまでまったく事件について具体的イメージがなっかった。もっと早く読むべきだった。
だが、あんまり上手くまとまってる感じはない。文庫で463ページだが、このボリュームでは足りないなとも感じた。

明治時代が江戸時代とたいして違わないレベルの人権意識だということは長年いろいろな本を読んで感じていたのだが、明治政府の社会主義者、無政府主義者への苛烈で断固とした態度は今読んでも異常。こんなに簡単に人を死刑にしちゃうんだ…という衝撃。司法関係者は何やってんの?

平沼騏一郎というと、後に首相や枢密院議長にもなった人物。独ソ不可侵条約で内閣総辞職し、戦後はA級戦犯に指名された人物としか自分は知らなかった。今回この本を読んだことで、A級戦犯として死刑になればよかったのになと感じた。

菅野を取り調べた東京地検の武富済小原直といった30代の検事たち。桂太郎政権の社会主義者根絶方針をしっかりアシスト。結論ありきで調書を創作して、ろくに証拠も調べず証人も呼ばず簡単に12人を刑場に送り、後に議員になったりして出世してるの胸糞悪い。
(裏金議員の不起訴を決めてポストを得た畝本直美検事総長もそうだが、私利私欲検事は人権の敵。)

2024年8月29日木曜日

藤吉夏鈴「新米記者トロッ子」(2024)

櫻坂46・藤吉夏鈴の主演映画「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」を某西多摩地方のイオンシネマで、友人と合流し平日最終で見てきた。客は我々2名のみだったので、雑談しながらツッコミながら見てきた。

監督は小林啓一で脚本は大野大輔。とくに原作はなく原案は宮川彰太郎とクレジットされている。製作と配給は東映ビデオ、SPOTTED PRODUCTIONS。主題歌はクレナズム「リベリオン」

高校新聞部を扱った青春ムービーのようだが、予告編動画を見ると、ちょっと暑苦しいような気がした。
だが、小林啓一監督の過去作「恋は光」(2022)、「殺さない彼と死なない彼女」(2019)、逆光の頃(2017)が良かったので劇場へ見に行くことにした。
でもやっぱり正直言って藤吉夏鈴が目当て。でもまさかいきなり藤吉で主演映画が作られるとは、数年前は思ってもいなかった。女優藤吉を応援するために見に行った。
自分は欅坂時代から藤吉には強く注目していた。平手不在の欅坂の次世代を担う存在だと見抜いていた。だが、個性的ではあっても美人とは言えない藤吉がまさか主演女優とは驚き。

藤吉夏鈴演じるヒロイン所(トロッコ)は櫻葉学園高校1年生。憧れの高校生作家・緑町このはが在籍する文芸部に入部するために入部テストを受けている。え、文芸部に入るだけなのに選抜されるの?
試験を受けている最中に窓から侵入してきたドローンが直撃し気を失う。不幸な事故とは言え、再試験を行う予定はないと入部を断られる。(なんか、脚本としても演出としてもこのシーンは違和感)
そこに文芸部部長の西園寺茉莉(久間田琳加)がやってくる。この子が全国高校生文学コンクールで最優秀賞を受賞している文芸部のカリスマで学園のドン。その背後には学園理事長。
(西園寺まりって名前に聞き覚えがあった。この映画の製作スタッフは「究極超人あ~る」を読んでいたに違いない。西園寺まりいがモデルかもしれない。)

実は文芸部に在籍していない正体不明の「緑町このは」を探るべく、トロッコは文芸部部長から、過去にこのはと接触しインタビュー記事を掲載した非合法新聞部に潜入し、その正体を探ってくるというミッションを与えられる。茶室で茶をふるまわれながら。
成功すれば入部を許すという密約。文芸部の万年筆を与えられる。「お姉さま…」
所在不明の新聞部までたどり着く経緯が面白い。いかにも潜入スパイ。「亀は意外と速く泳ぐ」という映画を想い出した。スパイも記者も地べたをはいつくばってネタを拾う嗅覚が必要というわけか。

そして町工場印刷所にある部員2名の部室へたどり着く。「合格!」トロッコは即入部を許可される。
新聞部部長・杉原(髙石あかり)が強烈なキャラクターを持っている。ジャーナリズムの闘士。ほぼこの映画の主役。

この杉原がトロッコに新聞記者の基礎を厳しく叩きこむ。え、高校生なのに?
そしてトロッコは潜入スパイだったはずが、逆スパイへと変貌していく。
なんだか、共産党非合法時代の特高刑事みたいだった。
高校生たちの学園にいったいどんなジャーナリズムがあるというのか?教師たちのセクハラスキャンダルなどを暴く。なので学園当局からも教員たちからも毛嫌いされる。退学をほのめかす。

こういった学園ものでは生徒会が当局で悪の組織となるのだが、この映画では文芸部(特別進学クラスのみ入部可)と理事長が権力を持つ悪。盗聴を仕掛けたり、新聞部員の恩田(中井友望)を引き抜き、新聞部の分断を図る。

そして、文芸部部長のコンクール受賞作の盗作疑惑と不正を暴くスクープへ。

高嶋政宏演じる沼原理事長のキャラ造形がコミカルすぎてリアリティなかった。学園の闇がマンガすぎた。
ほぼ裏金自民党をわかりやすく描く。でも、あんな大ぴらに札束でコンクール審査員を買収とかするのか?パリオリンピック審判団も裏側はこんなだったかもしれない。
この映画で藤吉夏鈴を知った人は、あまり演技力を感じなかったかもしれない。表情の質感が森山未來に似ている。それほど表情にバリエーションがない。なんだか暗くてぼんやりしている。
しかし、すらっと背が高く、ひらひら漂うような華奢な制服姿と立ち姿が美しい。
あと、ヒロインが何かを決意するシーンは必ず湯船に浸かっている…というのが日本の青春映画のお約束。この映画でも踏襲。

久間田琳加は貫禄のある文芸部部長という役だったからか、ちょっと太って見えた。
藤吉の「お姉さま」呼びには萌えた。

この映画で一番輝いていた存在はほぼ主役の髙石あかりだった。助演女優賞ものだった。だが、どうしてここまで地下活動で闘志を燃やす?そこはあまり描かれない。

この映画は髙石と高嶋政宏で持っていた。高嶋は学園の理事長役のスペシャリストになりつつある。高嶋の存在と、クライマックスのトロッコ登壇マイクパフォーマンスは「映像研には手を出すな!」をも想わせた。

新聞部の活動をテロと認定し、取り押さえようと必死の教師たち。ほぼ自公政権に及び腰で矜持を失った大手マスコミを見るようだった。
正直、この映画のストーリーと脚本は自分が期待していたクオリティになかった。いかにも中高生向け夏休み映画といった雰囲気。
この理事長の不正を暴くクライマックスシーンがあんまり上手くいっていないように感じた。アイデア不足で練り込み不足。
大人が見るにはきついかもしれない。内容が10代向けコミックのよう。

あの「数年後…」を示すラストも自分は好きじゃない。いかにも子ども向けドラマな展開。
自分なら、大人たちのほうが一枚上手でヒロインたちは挫折させられ、新聞記者となった後の次のステージではどす黒い政権へと立ち向かっていく…という映像を見せて、余韻を持たせて物語を終えたい。
藤吉夏鈴は「そこ曲がったら、櫻坂?」でも面白い。ぼんやりリアクションが面白い。ついツッコミ入れたくなる存在。
この映画を企画し製作した監督とスタッフに感謝しかない。また次の藤吉夏鈴主演映画を期待して待っている。

2024年8月28日水曜日

赤川次郎「僕らの課外授業」(1984)

赤川次郎「僕らの課外授業」を昭和59年角川文庫版で読む。
こいつも処分するというのでもらい受けてきた古い赤川次郎文庫本の一冊。

今回、実に15冊まとめて赤川次郎を読んでみた…という私的イベントにトライしたわけだが、最後に読んだこの一冊だけは読んだことがある。遥か昔、中1のときだ。
この本は昔、確かに自分は持っていた。何度かの引越しのうちに失われ、こうしてまた手許にやってきて読んだことになる。
だが、その内容はほとんど忘れていた。13歳当時の自分は実は内容を理解していなかったのかもしれない。

「僕らの課外授業」(初出が単行本だったと書かれているけどいつ発表されたか不明)
主人公の中込友也くんは杉並区内の公立中学校に通う中学三年生。二学期が始まった9月の平日、親から頼まれた荷物受け取りのために満員電車で朝8時40分の東京駅へ。
この当時の中央線上りの混雑は今以上に酷いことになっていたに違いない。

ふと気づけば、自分ぐらいの年頃の制服姿の女子が同じ車両に乗っている。場違いだ。
東京駅で車両から吐き出された乗客たち。ホームの階段を足元も見えないまま下る。そこにその少女。転倒しそうになるのを手首をつかんで助ける。「ありがとう」

だがその後、人波にもまれ見えなくなる。少女はすたすたと東京駅構内を進む。後をつける友也くん。だが、途中でフッといなくなる。どこへ消えた?そこには身分証と吉祥寺東京間の定期入れが落ちていた。

その定期入れをその日のうちに家まで届けたら、持ち主の大和田倫子は1か月前に自殺していた…。
何やら大和田の両親の様子がおかしい。同級生の北川容子と一緒に東京駅を探索。どこかに秘密の階段があるのでは?だが、容子は喫茶店から突然姿を消す。
友也くんの家庭教師だった新聞記者迫田、倫子と友人だった不良少女アリサ、容子の父らと相談しながら、陰謀と真相に迫っていくという、ジュブナイルサスペンス。

眉村卓の古いジュブナイルSFを読んでるかのよう。ひと昔もふた昔も前の昭和な素朴な作風で荒唐無稽ではあったが、読んでいてワクワクできた。楽しかった。

「何でも屋は大忙し」(Vコース1983年4月号)
幼なじみ男女3人がバイトとして何でも屋を開業したら、暴走族のケンカの仲裁を持ち込まれ、殺人事件に巻き込まれる。

「ラブ・バード・ウォッチング」(高三コース1981年8月号)
無趣味少女がバードウォッチングを始めるために双眼鏡を買ってもらったのだが、何を見てるかっていうと近所の若い男。犯罪を未然に防ぐ。

「夢の行列」(中一コース1983年3月号)
アイドル歌手コンサートのチケットを求めて並んでた女の子が凍死?!

表題作以下の短編3本は内容をまったく覚えていなかった。どれもそこそこ。初読時に何の印象もなかったことが今もわかる。

2024年8月27日火曜日

赤川次郎「殺人よ、こんにちは」(1983)

赤川次郎「殺人よ、こんにちは」(1983)を角川文庫(平成7年47刷)で読む。これも処分するというのでもらってきた古い赤川次郎の14冊目。残すところあと2冊。

「今日、パパが死んだ」という書き出しは、カミュ「異邦人」を意識したものなの?!タイトルもサガンぽい。表紙イラストも80年代ぽい。

ヒロイン丹野有紀子13歳は個室にシャワーがあってお手伝いさんもいるようなお嬢様。パパは海外から海外へと仕事でたまにしか日本に戻らない。
ある朝、ママ(美しくない)からパパが死んだと告げられる。そのまま葬儀。有紀子は知っている。「パパを殺したのはママ」

海岸の別荘で夏休み。ママにはさっそく若い恋人・金沢(32歳ジゴロ)も接近。有紀子は理解のある良い子を演じるけど、こんな男が新しいパパになるとかとんでもない!と心の声で毒づく。気が強そう。
同級生の聡美13歳が金沢に夢中。え、32歳が13歳とキスしてもいいのか?それに、大人が13歳にタバコを1口でも吸わせるな!

赤いワンピースの女の水死体発見、海中に引きずり込まれそうになる有紀子、金に困った叔父、ショップ店員の死体、13歳、真夏の大冒険。

典型的で標準的な赤川次郎サスペンス。読んでいてすごく赤川次郎マスターピースだと感じた。中高生が最初に読むべき赤川次郎だと感じた。夏休み海岸別荘が舞台だと日本要素が皆無。
クリスティ「白昼の悪魔」でも見た、死体発見の場面。横溝正史「幽霊男」でも見たやつ。トリックは古典的。
あと、あのシーンは「太陽がいっぱい」という映画をも連想した。雰囲気が似てた。

びっくりしたのが、13歳ヒロインの冷血非情悪女ぶり。母と娘、共に悪女。このヒロインの設定が13歳って無理がある。17歳ぐらいにしたほうがよかった。じゃないと32歳男と対等に渡り合えない。

2024年8月26日月曜日

ブルーバックス「ウソを見破る統計学」(2011)

ブルーバックス「ウソを見破る統計学 退屈させない統計入門」神永正博(2011)という本をもらったので早めに読む。これ、十数年前にわりと話題になった気がする。

統計学って高校の終りの方で習うはずなのだが、日々SNSを見てると、多くの人がなんとなく程度の理解度しかない気がする。ちなみに、自分は大学でわりと統計学を真剣に学んだのだが、今となってはもうほとんど覚えていることはない。エクセルの数学的理解はどこかへ置き忘れてしまった。

この本はブルーバックスらしく対話茶番形式に進んでいく。驚いたことに、統計学を教えてくれるはずの本なのに、まったく数式が登場しない。それ、予想外。

結論から言って、自分にはとても抽象的でわかりにくかった。統計(とくに検定)に慣れてない人に、こういう世界と概念があると初歩を教えてくれる内容。

今日までまったく忘れていた「カイ2乗検定」とか思い出させてくれた点で有用ではあったが、もっともとお具体的事例と実戦がほしい。たぶん今の自分には教科書教材みたいなものが理解に向いていると思う。

2024年8月25日日曜日

桐野夏生「ローズガーデン」(2000)

桐野夏生「ローズガーデン」(2000)を講談社文庫(2003)で読む。人生で2冊目の桐野夏生。
こいつも読みたくて買った本じゃなくて、処分するというのでもらってきた一冊。1993年から95年にかけて小説現代に掲載された3本と、単行本化のために書き下ろされた「ローズガーデン」を加えた一冊。

ローズガーデン
インドネシア駐在員の営業男の高校時代の回想。義理の父親(ヤクザ)に抱かれていた同級生ミロとの愛欲の日々。それまでは年上の女性と遊びのセッ〇スしかしなかったのに、ミロの自宅で、父親に抱かれているベッドでのセッ〇スに興奮する男子高校生。
いやいやそんな男子高校生が日本に存在するのか?攻めすぎだろ。女性読者向けという感じもしないが、中年男性読者向けかもしれない。

漂う魂
歌舞伎町二丁目マンションの幽霊騒動事件。ヒロインの名前がミロなので、その後のミロという設定なのかもしれない。

独りにしないで
女探偵ハードボイルド。歌舞伎町界隈の人々。水商売女に熱を上げる男からの依頼。女の気持ちを確かめたい。裏切られた愛を調査するのは簡単だが、愛を確認するのは難しい。

愛のトンネル
鉄道ホーム転落事故で亡くなった娘(専門学校生)はSMクラブの女王様だったと知った父親(田舎で役所勤め)からの依頼。田舎でそういった噂が出ないように痕跡を消去してほしい。

1と2は連作文芸短編という感じだが、3と4は女探偵ハードボイルド。ちょっと時間があるときにささっと読むのに最適な小説。

2024年8月24日土曜日

川口春奈「放課後はミステリーとともに」(2012)

東川篤哉原作小説をテレビドラマ化した「放課後はミステリーとともに」(TBS)を初めて見た。全話見通した。

2012年4月期月曜深夜にこんなドラマが放送されていたことをまったく知らなかった。主演は川口春奈と速水もこみち。当時は川口春奈にあまり関心なかったのかもしれない。
脚本は泉澤陽子、鳴門真規。演出は武藤淳、大澤祐樹。ほぼ「ケータイ刑事」のような軽いノリのユーモアで悪ふざけしたバカドラマ。
全9回の放送だったのだが、第1話が1回表、第2話が1回裏、と続いていく。最終話は5回裏となっている。なので話を把握しにくい。

なんでそんな設定にした?主人公ヒロインの私立鯉ヶ窪学園2年生霧ケ峰涼(川口春奈)はミステリーマニアで広島カープファンの変わり者という設定だから。
ときどきカープユニ姿の春奈が見れるのがこのドラマの特徴。
このヒロインが周辺で起こる事件に名探偵気取りで介入していく。手帳に挟んだ鉄人衣笠の写真を見ると何かを思いつく。何かがひらめく。

毎回「犯人はアナタです!」とポーズをキメるのだが、それはことごとくピント外れ。反論されるとタジタジ。
やる気はあるのに才能がないという哀しいヒロイン。
そこで生物教師石崎浩見(速水もこみち)が探偵部顧問として助言指導。というか、涼の誤った推理を力業で修正していく。この白衣の教師も変わり者。というかほぼ変態。部外者立ち入り禁止の研究室にダッチワイフを隠してる。
川口は若手女優としてこれからという時期。もこみちも俳優としてもっと幅を広げたいという時期。かなりの変人キャラを、恥じらいを捨て、テンション高く演じることを求められたに違いない。
トリックで言ったら上田と山田を演じた阿部寛と仲間由紀恵のようになりたかったのかもしれない。

学園の日常ミステリーかと思いきや、殺人事件も起こる。毎回警視庁からドS刑事の入山法子と、その僕のような高嶋政伸がやってくる。言葉遣いが粗暴。この二人はいい味出してた。
クラスメート親友役が広瀬アリス。この当時のアリスはまだゴリラ成分が抜けてない。
そして涼のリトルリーグ時代のライバルが間宮祥太朗
5回表と裏には木村文乃が清楚にして妖艶な教育実習生として登場。

どのエピソードも謎としてそこそこ。ユーモアミステリー短編として適切。ときにそんなバカな?という内容。
ただただ川口春奈が恥じらいを捨て、目を白黒させ、ブチ切れたり怒ったり、どつかれたりしながらドタバタするドラマ。自分はそこそこ面白かったのだが、正直スベってる回も多かった。
エンディング主題歌はもうすでに存在しないアイドルグループ9nine「流星のくちづけ」(SME Records)

2024年8月23日金曜日

梓林太郎「黒部川殺人事件」(2007)

梓林太郎の長編旅情推理、旅行作家・茶屋次郎の事件簿「立山アルペンルート 黒部川殺人事件」(2007)を読む。祥伝社ノン・ノベル書き下ろし。
梓林太郎(1933-2024)は長野県下伊那郡上郷村出身。貿易会社、コンサル業、調査会社を経て1980年に推理作家デビューした山岳ミステリーの第一人者。

自分、今年になるまでこの作家のことは何も眼中になかった。今作が人世で2冊目の梓林太郎。
こいつも前回読んだ「北岳 殺意の岩壁」といっしょに無償でいただいてきた古いノベルス本。

オビを見るとテレ東で橋爪功主演でドラマ化されているようだ。
この主人公が原作だとおよそ40代ぐらいでハンサムらしい。渋谷に事務所を構える人気の旅行作家という設定。
若い女性事務員を2名抱えている。この事務員女がひとりは秘書、もうひとりがいてもいなくても影響のないお茶くみ事務。この二人と、出版社の編集長とのやりとりがユーモア要素。けっこう口が悪くてケンカ腰。しかし取材先では紳士。

富山・宇奈月温泉在住の読者からの手紙で取材に行くと、連絡がつかなくなる。この須笑子という30代女性の恋人が黒部峡谷で行方不明になり捜索に加わっている。そして遺体発見。谷底の絶壁で宙づりになっていた。被害者男性には登山の経験はない。

須笑子の家の向かいに住む19歳娘とちょいお色気シーン。その父親とも協力して各地に聞き込み捜査。
この茶屋次郎という作家が聴きこみ先でも名前を知られている有名作家。ほぼアナザー浅見光彦。無能警察とは別の独自捜査で真相に辿り着く。

須笑子は東京で介護福祉の仕事をしていたのだが急に辞めて富山に戻っていた。一体なぜ?なにか恐ろしい通り魔事件に巻き込まれていた。
須笑子も被害者だったのに、事件で死んだ若い女性の家族が逆恨み?!

この逆恨み動機がまったく理解不能なぐらい酷い逆恨み。読者の誰も共感できない狂った動機。無関係な人間を殺すのでなく、まず通り魔犯人を先に始末しろよ。
須笑子の過去の恋人も含めて2名を殺害している。強い殺意を持って計画的に、凶悪だし残忍。これは警察に出頭したところで死刑が求刑されるだろうな。

酷い動機で関係ない人物が殺されている酷い事件なので、読んでいて怖いサスペンス。まるで「呪怨」シリーズ。強引で急な幕引きの松本清張型社会派ドラマ。

2024年8月22日木曜日

ジッド「田園交響楽」(1919)

ジッド「田園交響楽 LA SYMPHONIE PASTRALE」(1919)を昭和27年神西清(1903-1957)訳新潮文庫で読む。これも処分するというのでもらい受けてきた古い文庫本(平成2年76刷)で読む。
アンドレ・ジッド(André Gide, 1869-1951)を読むのは初めて。この小説は早くから日本にも紹介されていたので多くの日本人が読んでるはず。

登場人物がフランス人ぽい名前なのに妻子のいる牧師が登場して戸惑う。フランスにそんなに雪深い村ってあったっけ?
ラショードフォン?ああ、そうかスイスのフランス語圏が舞台なのか。調べてみたらスイス北部ジュラ山地のラプレヴィーヌ村が舞台。標高は1000mを超える。

主人公牧師の独白手記形式。村のはずれの老婆の臨終に立ち会おうと急ぐ。駆け付けるとすでに事切れていた。
そこに盲目で言葉も発しない15歳ぐらいの少女がいる。耳の聞こえない老婆の家で放置されるように育ったので知性も劣る。通常なら孤児院に入れられるけど、牧師は家に連れ帰る。虱がいる衣服は焼き捨てる。不機嫌な妻からは小言を言われる。

拾ってきて数週間は野生の獣のようだった少女はジェルトリュードと名付けられる。熱心な教育で人並みに育つ。美しく育つ。そして息子のジャック(神学校)が恋してしまってる?!
だが、父もジェルトリュードと相思相愛?!それは父と息子の相克。

息子はいつの間にか新教を棄てカトリックに改宗?!盲目のジェルトリュードは開眼手術で目が見えるようになったのだが、間もなく河に転落して死亡?!なんだこの急展開!

この本、薄いので誰でもあっという間に読めてしまう。だが、非キリスト教徒の日本人が読んだところでそのすべてを理解するのは無理かもしれない。プロテスタントとカトリック間の改宗がまずイメージできない。それに、彼らの罪の意識というやつもイメージしづらい。

2024年8月21日水曜日

岡嶋二人「コンピュータの熱い罠」(1986)

岡嶋二人「コンピュータの熱い罠」を読む。BOで110円で手に入れた
この作品は1986年に光文社から刊行後、90年に光文社文庫化。そして2001年に講談社文庫化。今回自分が読んだものは講談社文庫初版。

結婚紹介サービスのデータセンターでオペレーターとして働く夏村絵里子は27歳のITエンジニア。(もう80年代中ごろには個人情報は厳格に扱うものだという概念があったのか。)

で、顧客の情報を見せろ!とやってきた中年女性に対応。丁重に断るのだが、この女性の兄51歳はここで紹介され結婚した女性27歳に殺されたと主張。新婚1か月でフィリピンで水難事故死したことにされているが、女に殺された!

さらに、倉庫会社勤務の恋人が独身男性データとして登録されていることを知る。男性に問い詰めると、会社の独身男性はみんなオトリデータとして情報を提供してるんだから気にするなと言われる。
しかし、このデータが内容スカスカなはずなのだが、いつの間にか個人情報がみっちり書き加えられている。それは不審。同僚の古川と一緒に調査。

この古川が何やら大きな事件が起こってる兆候をつかんだらしい。するとあっという間に殺害。さらに自宅アパートを荒らされる。何か重要な証拠を持ち去られた?
途中からまるで宮部みゆき「火車」のような、恐るべき犯罪とその中心にいる女の正体に気づき始める。8人の男性が結婚1か月で死んでいる…。

岡嶋二人作品のヒロインはみんなどこか天然で呑気。このヒロインも自らずんずん調査していって自身の危機一髪。いやもう恐ろしい。これはずんずんページがめくれるサスペンス娯楽作!

ヒロインの敵と想われていた同じ会社のプログラマーが、「エルピス」の岡部たかしのような質感だった。登場したときは最悪に嫌なやつだったのに…。
あと、警察がおそるべき無能。こんな凶悪な犯罪に気づいてさえいないとか。

「クラインの壺」が面白かった!という若い読者には、「99%の誘拐」か、この「コンピュータの熱い罠」をオススメしたい。話のテンポが良いし、文体も読みやすいし、無駄に感じる冗長なやりとりとかも一切ない。

ボリューム感サイズ感もちょうどいい。岡嶋二人作品の中でもかなり面白いサスペンス小説。
1986年というとレトロな作品のはずだが、古いのに古くない。なんで未だに映画化もドラマ化もされてないんだ?
PS. 読み終わってすぐに光文社文庫版がそこに110円で売られていたので買ってしまった。いずれまた再読したい。

2024年8月20日火曜日

簾内敬司「菅江真澄 みちのく漂流」(2001)

簾内敬司「菅江真澄 みちのく漂流」(2001 岩波書店)という本をもらったので読む。

簾内敬司(1951-2016)は秋田・白神山麓の二ツ井町で書店を経営する傍ら作家活動をしていた人らしい。今作で日本エッセイストクラブ賞を受賞。
オビに「神々の気配、山人海人の消息、北の自然と民族、現代の東北風土記。漂泊者が東北の飢餓回廊をゆく。」とある。そういう本だと期待して読む。

自分、10年前に友人と東北を旅して秋田・男鹿に立ち寄ったとき、なまはげの展示施設で初めて菅江真澄(1754-1829)の存在を知った。
三河・岡崎に生れ、天明三年に郷里を出発し伊那へ入り、信濃から越後へ出て、そのまま出羽、津軽、そして当時は渡島と呼ばれていた蝦夷へ渡った旅行家。各地を見て回って紀行、素描本を記した。採薬掛という技能を持っていたので薬を煎じたりしながら藩から藩へと移動。

菅江がたどったルートを地元民が車でたどって取材。どちらかというと東北という土地を見つめる歴史紀行エッセイ文芸というのが正しくて、とくに菅江真澄について調査した本という感じはしない。
「現代の東北風土記」と呼ぶしかない。太宰治「津軽」のような文芸書だが、私小説的な要素はほとんどない。

自分、10年ほど前に角館、秋田、男鹿、津軽、南部などを旅した。だが、まだ下北半島と恐山は行ったことがない。

2024年8月19日月曜日

辺見庸「反逆する風景」(1995)

辺見庸「反逆する風景」(1995)を読む。1997年講談社文庫初版で読む。これは昨年の2月ごろBOで110円購入。1990年から95年にかけて、各新聞雑誌に掲載されたものをまとめた一冊。

このジャーナリスト作家は共同通信社の外信記者だが、小説も書くようになって芥川賞を受賞し、前作のルポルタージュ「もの食う人びと」で、冷戦終結しバブル崩壊後の多くの日本の読者に衝撃を与えた。

この本は「もの食う人びと」にも出てくる同じエピソードを別角度で、さらに詩的な文体でつづる、90年代前半という時代を感じさせるエッセイとコラムな文芸作品。なので「もの食う人びと」を読んだ人の半分ぐらいは読んでるに違いない。

中国の公安に尾行される気持ち悪さを体験した日本人記者って一体今何人いる?
チェルノブイリ原発事故でゴーストタウンになったプリピャチの集合住宅を取材してる場面があるのだが、90年代初期からロシア人はウクライナ人をバカにしてたらしい。

え、って驚いたのが、ソ連でもヒトラー「我が闘争」ロシア語訳が出版されていたのか。
グラスノスチによる民族主義の高まりはソ連から多くの国々を独立させたが、ロシア民族主義者からするとバルト三国の独立は許しがたいことだったらしい。

この本の後半は文芸書っぽい作風になっていく。読み終わったところだが、内容はそれほど覚えていない。作者が心で感じた風景を綴ってる。読んでいて、とにかくやさぐれ中年男の感じが強く出てる。

2024年8月18日日曜日

井上靖「蒼き狼」(昭和35年)

井上靖「蒼き狼」(昭和35年)を新潮文庫(平成24年94刷!)で読む。
こいつは今年のまだ寒かった時期に立ち寄ったBOで110円購入。

モンゴル帝国の創設者で殺戮者の鉄木真(チンギス汗)を描いた歴史小説。
世界史上最大の大帝国を築く以前、鉄木真の生まれる以前、モンゴル高原の代々の王の系図が口承で示される。こういうのを覚える役目の人はすごいと思うのだが、寒い冬はひたすら一族で同じ話しかしてないと、意外と簡単に覚えて次世代で繋いでいけるものかもしれない。

まず、近場の部族同士の抗争。ほぼヤクザの争い。日本の弥生時代、古墳時代にもこういったことあったかもしれないが、敵対するグループは男なら嬰児であっても皆殺し。財宝と女はみんなで山分け。
農耕民族なら生かしておけば農作業で使えるのに、遊牧民族は捕虜すら邪魔。ひたすら殺戮。人の心が見えない。そういえばこの時代のモンゴル人にはまだ仏教は浸透してない。

金、ホラズム、西夏、裕福な国があると知ったら攻め込んで征服し、財宝と女を奪い男たちは皆殺し。叛乱の兆しがあれば一兵団を送って屠る。実にシンプル。殺戮一代男。
古代ローマの将軍たちもナポレオンもヒトラーも成吉思汗に比べたら甘ちゃん。

女はほぼ子どもを産む家畜のような酷い扱い。女性に個性がほぼない。側室は何人いてもいい。妾は何人いてもいい。最愛の側室・忽蘭は気が強いが従順だし貞淑。

司馬遼太郎の戦国時代歴史小説とまるで質感が違う。ユーモアエピソード皆無で硬派。登場人物たちが記号のようで、読んでいてあまり面白くない。

日本ならもっと気象の変化とかが合戦にどう影響したか?相手をどうやって調略したか?など詳細に書かれるはずなのだが、そこはモンゴルの草原。ステップ気候。
敵が遠くからやってくれば見える。なので篠突く雨の中を出立して奇襲…といった日本おなじみの要素が皆無。ひたすら大軍を送り込んで殺戮。

井上靖の筆致にあまり季節とか草原の様子とか牛や羊の様子といった自然への賞賛や眼差しが感じられない。それはまるで正史をわかりやすく日本語に書き下したような感じ。
巻末で作者解説がある。那珂通世の「元朝秘史」と「成吉思汗実録」その他を参照したらしい。

2024年8月17日土曜日

キングダム 運命の炎(2023)

「キングダム 運命の炎 KINGDOM : The Flame of Destiny」(2023)を見る。
2022年公開の映画「キングダム2 遥かなる大地へ」の続編となるシリーズ第3弾。2023年の夏休み映画。
監督は佐藤信介で脚本は黒岩勉と原作者の原泰久。音楽はやまだ豊。CREDEUSが制作。そして日テレ、集英社などなど。配給は東宝とソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。

これもWOWOWで録画しておいて安心してたら、シリーズ4作目の公開に合わせて、7月12日に金ロー地上波で放送。やれやれ。毎日読書ばかりしていて映画を見るペースが追いつけない。

今作では「紫夏編」「馬陽の戦い」が描かれる。原作にまったく触れたことのない自分は何が何やら。

行方不明になっていた信(山﨑賢人)王騎将軍(大沢たかお)の元で修業し、無法地帯を平定するという試練で大きな成果…という説明を嬴政(吉沢亮)昌文君(髙嶋政宏)が会話とCGで説明してくれる。信は無双。

そして紀元前244年、次なる脅威。隣国・の大軍が秦国領へ侵攻。趙は数十万人規模の虐殺の件で秦をすごく恨んでる。
蒙毅(萩原利久)河了貂(橋本環奈)が会話で説明してくれる。
激キモキチガイ野郎万極(山田裕貴)が恨みのままに攻めてくる。こんな髪したやつ古代中国にぜったいいないだろ。
迎え撃つ秦国は呂不韋(佐藤浩市)がのさばる。側近たちで勢力争い。

兵力の差は将軍の力量で補うしかない。昌平君(玉木宏)はしばらく戦場から離れていた大将軍・王騎を呼び寄せ総大将に任命する。「ヌーフッフフフフー」

王騎は軍議でなく嬴政(吉沢亮)に中華統一についての覚悟を問う。嬴政は趙国での奴隷のような幼少期を語り出す。回想シーンへ。
趙国の闇商人・紫夏(杏)と出あう。(女優としての杏さんの仕事を久しぶりに見たな)
嬴政の趙国脱出計画。その手引きをするのが紫夏。

4つの関所は通過したのだが…、幻覚のせいで嬴政はパニック。まったく世話の焼ける…。
ぐずぐずしてた間に追手が。紫夏と仲間たちは激しい戦闘で犠牲に。
これが前半クライマックス。規模の小さな怒りのデスロード。
嬴政は息絶えようとしている紫夏に「誰よりも偉大な王になる」ことを約束。そんな悲しい話が。
その話を柱の陰で信はずっと聴いている。シリーズ第1作からこれまでの嬴政名場面を回想。

百人隊長となった信の元へ農民兵たちが集結。前シリーズで一緒に戦った面々が再び。羌瘣(清野菜名)も合流。濱津隆之がまたしても中年サラリーマンにしか見えない。

王騎は趙国に包囲された馬陽の救援に出陣。
蒙毅と河了貂は丘の上から会戦を見守る。戦術を解説する。今回はこんな役割での橋本環奈の使い方。
倒す相手は敵将馮忌(片岡愛之助)。いや、こいつら「鎌倉殿の十三人」やん。
王騎は信百人隊に「飛信隊」と名付けて特別任務を与える。どさくさに馮忌の首を取ってこい。
飛信隊は馮忌のいる本陣を目指し奇襲。しかしこれは無謀では?もっと細かい作戦を伝授しろよ。何を騰(要潤)と風流に戦いを鑑賞してんだよ。人の命を何だと思ってんだ。なんで余裕ぶっこいて笑ってんだよ。「ンフフフフ」
愛之助馮忌はまるで「麒麟がくる」の今川義元のような最期。

趙国軍は撤退開始。しかし王騎は趙軍趙荘(山本耕史)の動きに違和感。
見学中の蒙毅と河了貂の場所に李牧(小栗旬)カイネ(佐久間由衣)が現れなれなれしく話しかけてくる。鎌倉殿感が完成。こいつらも明らかに古代中国人じゃない。
飛信隊は31名の戦死者。戦いの壮絶さのわりに少ない。
飛信隊の野営地に大きな矛を持った龐煖(吉川晃司)が現れ襲いかかる。こいつこそが趙軍の真のラスボス?!明らかに化け物。
たった1人でゲームチェンジャー兵器のような存在。

龐煖って誰?昌文君が語り始める。龐煖は秦国六大将軍の一人で、9年前に王騎の妻になるはずであった摎を殺した男だった。龐煖は王騎によって討ち取られたはずだが…。

その頃、山の民の王・楊端和(長澤まさみ)は死屍累々の戦場へ。何やら余韻を残してシリーズ第4作へ。
主題歌は宇多田ヒカル「Gold 〜また逢う日まで〜」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

2024年8月16日金曜日

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(2002)

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(2002 角川書店)という本を頂いたので読む。「本の旅人」1999年11月号から2001年4月号まで連載されたものを著者が加筆修正して2002年に単行本化。第33回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した代表作。
オビには猪瀬直樹、関川夏央、立花隆、西木正明、藤原作弥、柳田邦男、各氏からの賛辞が並ぶ。

米原万里(1956-2006)を読むのは初めて。本業はロシア語通訳者。作家としては若くして亡くなったけど、自分はニュースバラエティ番組でコメンテーターとして見たことあった。

この人の父親は鳥取の高額納税者で貴族院議員の家に生れ、非合法時代の日本共産党の地下組織へ16年も潜伏した闘志。
当時はすでに第三インターナショナル(コミンテルン)も、ルーマニア・ブカレストにあったコミンフォルムも解体。唯一残された世界各国の共産党が国際的交流機関がプラハの「平和と社会主義の諸問題」誌編集局。日本共産党中央委員会から1960年にプラハへ。

米原万里は小学生から中学生の時代、1960年1月から1964年10月まで約5年間、プラハ・ソビエト学校(インターナショナルスクール)で各国から集まった児童と一緒にロシア語で教育を受けるという、当時の日本人としては稀有な体験をした人。
このプラハでの小学生時代の回想がほぼ「ちびまる子ちゃん」のようで貴重だし興味深いし面白い。

「リッツァの夢見た青空」
ギリシャの軍事独裁政権を嫌いチェコスロバキアに亡命していたギリシャの共産主義者を父に持つ少女リッツァの想い出。

この少女がとにかく性に早熟だったという。それは2歳年上のハンサム兄経由だったらしい。ここ読んで、ギリシャ人が世界で一番性欲強いというのは意外にこの本を読んだ人から膾炙したのかもしれないな…と思った。

万里が日本に帰国して以来、プラハの春事件があったり、東西冷戦が終結したり。中年に差し掛かって、リッツァを探し求めるドキュメンタリー映画のよう。1960年代から90年代を生き抜いた家族の物語。

あれだけ勉強嫌いで理数系がまったくダメだったリッツァが、風の便りで名門カレル大医学部に入学したらしいと聞いた時、嘘だろ!もしかして親のコネ?とも考えたのだが、リッツァ父はプラハの春でソ連を批判し仕事をクビになっていた。それはむしろリッツァにとってハンデでは?
ドイツで大学医学部で学ぶには多額に費用がかかる。しかし、当時の東側世界では外国からの亡命者の父親が失脚し仕事を失っても、授業料免除で卒業できていたことは驚き。

方々探し求めた結果、リッツァはドイツのオペル城下町で診療所医師となっていた。30年の時を超えた再会シーンは感動的だった。
もうこのパートだけで家族ドラマの感動作。これは名作。
直接は関係ないけど、テオ・アンゲロプロス監督の「霧の中の風景」という、遠い昔に見た映画のことを想った。

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
ルーマニア外交官の娘アーニャを回想。東側の外国人コミュニティでは他人の容姿をあげつらうようなあだ名をつけることは恥ずべき事とされていたが、アーニャは例外的に雌牛だったという。

この子が他の児童生徒よりあきらかに暮らしぶりが豪華。家政婦もいるし、とても労働者のために闘う同志という雰囲気でない。
計画経済チェコスロバキアではみんな統一規格のノートを使っていたのに、フランス製のおしゃれな黄色いノートを持っていた。どこで買った?どうもアーニャはつかなくていい嘘をついている。

チャウシェスク独裁が倒れた後、万里さんはブカレストのザハレスク家を訪問。毛皮のコートに宝石の指輪をしていた派手なママと再会。
チャウシェスク政権を支えた人々はルーマニア革命後もなぜかそのままお屋敷町に住んでいた。健在だった両親から衝撃的な話を聴く。

プラハで待ち合わせして30年ぶりの再会。誰より祖国ルーマニアを愛し、ロシア語が上手だったアーニャは英国人と結婚し英国でアッパーミドル階級の暮らしをしていた。もうほとんどロシア語を話せなくなっていた。惨めで貧しい祖国も棄てていた…。万里さんはつい怒りの言葉を吐いてしまう。
このパートもかなり感動作だし味わい深いヒューマンドキュメンタリー。

「白い都のヤスミンカ」
ユーゴスラビアの「白い都」ベオグラードから来た優等生美人のヤースナ。このころは日本共産党とソ連共産党は険悪。そしてユーゴはソ連人からすると裏切り者でやっぱり険悪。プラハ・ソビエト学校のロシア人も万里とヤースナと距離。すると万里とヤースナは仲良し。いつも隣にいた間柄。

だがやっぱり「去る者は日日に疎し」。どんどん疎遠になる。
そして90年代に入ると地獄のユーゴ内戦。ヤースナを探して歩く万里。え、ヤースナはボスニアのムスリムだったの?!そんな話はまったく聴いてない!

人探しというのはもうそれだけでミステリー。衝撃の事実が判明していく。ヤースナの父はチトー死後の元首輪番制の最後のボスニア大統領?!

以上3連作、60年代以降のソ連と東欧の歴史と人々を感じられる。どれも面白かった。この本はもっともっと読まれるべき。

2024年8月15日木曜日

阿部和重「クエーサーと13番目の柱」(2012)

阿部和重「クエーサーと13番目の柱」(2012 講談社)を読む。たぶん初めて読む作家。
これも無償でいただいてきた本。あまりにピカピカな本で最近出たもののように感じたのだが、もう12年前の本。ブックカバーからして印刷にお金がかかってそうな豪華でおしゃれな装丁。

元写真週刊誌記者だったタカツキリクオ(40代)は今ではクライアントからの依頼で、盗聴、不法侵入、匿名掲示板での誘導工作など、違法な手段でターゲットに詰めていくスタイルのパパラッチ集団のリーダー。

「Q」と呼ばれるアイドルの正体と住所を探る。クライアントも一代で富を築いたような若手実業家。人気アイドルの情報を得たいというだけなので、何んら公益性もない。なので実質反社会的な集団。頃合いを見計らって辞めていく仲間は引き留めない。

訳あり人材をスカウトして仲間に入れる。なんか、「引き寄せの法則」だの、ダイアナ妃とウィリアム王子の話とかしてくるヘンテコなニナイケントという男を入れてから、仲間たちに不審な襲撃事件や不穏な事態が起こる。

正体不明な敵に狙われる。そいつは一体…?!という、アイドルに執着する誰かと匿名掲示板とパパラッチの戦い。

ま、こだわりの強い狂ったやつとの戦い。読む前は不明なタイトルだったのだが、ラスト付近でそれが明かされるっていうパターン。

2024年8月14日水曜日

半藤一利「幕末史」(2008)

半藤一利「幕末史」(2008)を2012年新潮文庫で読む。これ、とくに読みたいというわけでなく、そこに108円で売られていたので確保しておいた。7年積読本をやっと読んだ。

たぶん市民向け公開講座で喋ったものをまとめた一冊。
半藤一利(1931-2021)の父の故郷は新潟長岡。子どものころから長岡の祖母に薩摩・長州の悪口ばかり聞かされて育ったというw なので、戦前のやたら明治維新を美化した教育を疑って聞いていたし批判的。
なので、西郷隆盛や坂本龍馬もあまり評価していない。「西郷隆盛は毛沢東と同じ」「坂本龍馬に独創的なものはない」という幕末通史。(西郷についてはしっかり説明ページが多い)

これが読んでいてとてもわかりやすい。まるで池上解説教養番組のよう。じつにわかりやすく整理してくれてるし、昭和平成のできごとに例えてくれたりする。
それに、「戦前はこう習った」というふうに提示。そこ、老人が若者たちに歴史をやさしく教えてくれているかのような温かみ。率直な物言い。

予備校とか行ったことない自分には、とてもわかりやすく面白く説明してくれる本でためになった。

2024年8月13日火曜日

松岡圭祐「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」(2017)

松岡圭祐「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」(2017)を読む。講談社文庫書き下ろし。

ライヘンバッハの滝で死んだことになってるシャーロック・ホームズ。モリアーティ教授殺害の疑いもかけられている。兄マイクロフトの尽力で日本の横浜へ密航。
少年時代のシャーロックがロンドンで荒くれ男たちに絡まれたとき、柔術で救ってくれた日本人青年が伊藤春輔。
後に日本国初代総理大臣となり、現在は枢密院議長。シャーロックは伊藤博文を訪ねる。

都合のいいことに、この時代の政府要人は英国人を連れていても外国人顧問だろうと思われてそれほど目立たない。
伊藤ら明治政府が巻き込まれていたロシア皇太子が大津で警察官から襲撃された事件への対処と、ロシアとの戦争を防ぐためにホームズの頭脳と助言が冴える!

自由に歴史を改変した19世紀的古典的創作ファンタジー国際陰謀サスペンス。明治日本の要人がたくさん登場。
アクションもあって楽しいかもだが、自分としては、あんまりこういうの好きでない。いや、たぶん世間の読者はこういうのが好きなんだろうけど。実際、ツイッターとか見ると高評価。
この手の本なら島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」(1984)のほうが自分は好き。

2024年8月12日月曜日

司馬遼太郎「尻啖え孫市」(1964)

司馬遼太郎「尻啖え孫市」を読む。講談社文庫2007年新装版で読む。この版がとても字が大きく読みやすい。昭和38年7月から週刊読売に1年間連載されたもの。

信長の時代の鉄砲集団・紀州雑賀衆を率いる雑賀(鈴木)孫市を描いた歴史小説。
自分、この人の存在を最近までまったく認識していなかった。それどころか雑賀衆の存在も見えていなかった。自分の人生において紀州はまだ一度も踏んだことがなく土地カンも何もない。

元亀元年二月の岐阜城下に、従者二人だけを連れて、八咫烏の印の入った真っ赤な袖無羽織姿に日本一と書かれた旗竿の大男・雑賀孫市が現れる。信長がこの男に興味。木下藤吉郎にマークさせる。
時代は反信長包囲網。雑賀衆3000人を率いるこの男が誰に味方するのか?それは戦国パワーゲームを左右する。この男は金払いのよい方にしかなびかない。藤吉郎はやりづらい。

そして信長は一乗谷の朝倉を攻める。孫市は50人ほど連れて行く。だが妹婿の浅井が裏切り。慌てて撤退。
孫一は織田家臣ではない。藤吉郎との友情に義を感じて金ヶ崎に残って助ける。雑賀の鉄砲が藤吉郎を救った。

孫市は信長の末妹・加乃を欲しいという。え、そんな妹いないけど?孫市は以前に京で見かけたという。藤吉郎は織田の分家筋から年頃の娘を加乃に仕立て上げる。
だが、その急ごしらえの女は加乃ではないとバレる。このへんのラブアフェアはいつもの司馬の創作に違いない。大人のための娯楽読み物。

国許に帰ればそこには浄土真宗の門徒たち。領主の息子の言うことを誰も聴かないw 
そして探し求めていた女がそこにいた。え、高貴な血筋の姫?神道の名家なのに新興の浄土真宗門徒?人々の尊崇を集める法専坊信照に心を寄せている?
堺で鉄砲鍛冶の名人仙斎の娘小みちが鉄砲の氏神種子島家の胤だと知って、今度はこの娘に夢中。

石山本願寺に侍大将として入って仏敵信長を討て!得度を受けてない孫市は慎重だったのについに顕如と面会。そして信長と合戦へ。
侵攻してくる信長軍を何度も蹴散らす孫市。この人は鉄砲による軍略の才能はすごかった。だが、政治の感覚とリーダーとしての資質はどうだったのか?

信長は長島の一向一揆を大群で殺戮し殲滅。いよいよ石山本願寺と天下分け目の決戦。これまでにない本気の大群。そこには佐久間、堀、そして秀吉。
だが、やはり守る孫市は強かった。またしても雑賀川で信長軍を散々に蹴散らす。このときの活躍がまるでスナイパー大名。

これで当分の間、信長は攻めてこないだろう。だがその後、謙信が死に、丹波の波多野が滅ぼされ、播州三木城の別所長治も自刃。信長は強くなりすぎた。
石山本願寺も顕如の意向で降伏。孫市はもう息子(息子も孫市)に雑賀衆の領主の座を譲って隠居状態。
そして本能寺の変。信長は死に、秀吉の天下。最後の仕上げは徳川との決戦。秀吉と家康から雑賀衆は誘いを受ける。息子孫市は家康につくも、両者は講和。

その後、雑賀孫市はふらっと秀吉に会いにいったまま死んだ。え、死因は?!
それが詳しいことは不明。謀殺されたのか、単なる急死か。読者は突然そこに放置されるように終わる。この人はいつもふらっと単身でいなくなる習慣を持っていた。風吹峠を越えていく姿を見たのが最後だった。

司馬先生は孫市を好色に描いてしまい、連載中から日本各地から抗議の手紙が来たそうだ。雑賀衆の末裔たちの全国組織がある?!東京方面でリーダー各の川崎の「さいか屋」は雑賀の末裔?!

この本、ボリュームのわりに1ページあたりの活字密度が低くてさらさらページをめくれる。たぶん上下巻を1日で読める。

2024年8月11日日曜日

浜辺美波、「徹子の部屋」に初登場

浜辺美波(23)がこの夏「徹子の部屋」(7月24日放送回)に初登場した。忘れないうちにここに記録して忘備録とする。

まず浜辺が以前にドラマでパロディとして黒柳徹子に扮したことに触れる徹子。「やってみて」というムチャブリはなんとか回避。
「らんまん」を回想。苦しいこともあったがみなさんに支えられ演じきることが出来た。
そして徹子の部屋出演に当たって、神木隆之介からアドバイス。「試験だと思ってがんばってこい」
祖母が徹子の部屋出演を喜んでくれた様子。直前にも電話。徹子「じゃあおばあさまに何か一言」
石川での少女時代を回想。この仕事をすると思ってなかった引っ込み思案な幼少時代。子どものころは歯医者さんになりたかった。
母は優しい人。いちばん応援してくれる。栄養管理と送り迎えに感謝。
父は愉快な人だったのに年々厳しくなってる。
7つ下の弟はかわいい。見るたびに大きくなってる。徹子「じゃあ弟さんにもカメラでよろしく」浜辺「弟よ、大学受験がんばれ」
祖母からは「丁寧な仕事をしなさい」と指導。
そして10才のときに受けた東宝シンデレラオーディションの話。「母が私をとてもかわいいと思っていたので応募した」
スピーチの後で靴が脱げたハプニングの映像をON AIR

合格者のなかで最年少だった自分は何もできず辛かった。
北陸新幹線ができる以前は飛行機で東京に通っていた。
「やめたい」と思ったことは何度もあったが言う勇気がなかった。「続けてきてよかった」
オーディションに落ち続けた中学時代はつらかった。「顔に特徴がない」と言われて悩んだ。幸薄顔で病人の役が多かった。
愛犬に癒されている浜辺。名前は「ぽぷ」と「こぺ」。かわいい名前がいいと思って。こぺはコペルニクスにちなんだ。
そして最新映画「もし徳」の宣伝。「わたしは政治の記者です」
最後は「徹子のYOUTUBEチャンネル見ています」の辺りから笑いがとまらなくなり終了。ちょっとした事故。
とくに新しい知識は得られなかったのだが、浜辺の魅力をお茶の間の視聴者に十分に伝えることができただろうと思う。