この作家の本を読むのは初めて。「神酒クリニックで乾杯を」というドラマを見ていたので名前は知っていた。コロナ禍でよく名前を見かけた沖縄出身の医師作家。
北アルプスにあるという蝶ヶ岳山麓に、生命科学の分野でノーベル賞級の成果を出し難病治療の製薬技術に革命を起こし巨万の富を築いたミステリーマニア富豪が、ガラス張りの塔「硝子館」に、医師、作家、霊能力者、編集者、刑事、名探偵、といった人々を集める。これが富豪の仕掛けたミステリーゲームの罠。という一見ベタなジャンル。
読書前は正直ナメてた。ライトなものを読もうと手に取った。
だがこれ、普通の読者も、古今東西のミステリー小説を読み漁ってる読者も、驚天動地しひれ伏すレベルの一冊。
ミステリー150年と日本における「新本格」の30数年をメタな視点から俯瞰し、綾辻行人や島田荘司といった神々をも踏み越え上書きするほどのレベルと完成度の大傑作!おそらく今後数十年語り継がれる空前絶後の名作!
本の初めの方で、殺す者と殺される者が読者にハッキリ提示される。そして20代中ごろで長身美人の自称「名探偵」が登場する。
てっきり、刑事コロンボみたいなスタイルのミステリーだと思った。だが、その後にクローズドサークル館ならではの密室連続殺人!
しかもこの場所では十数年前に猟奇的な「蝶ヶ岳神隠し」という事件が!
さらに、近年に多くの登山者の遭難事故と行方不明者。すごくワクワクできる雰囲気。
そして名探偵と助手スタイルの捜査。この本はずっと楽しくわくわくしながらページをめくれる。
医師作家が仕掛けた完璧な論理とエンタテインメントとしての構成。読んでて感心しかしない。
主人公と名探偵のキャラもベタなようで新鮮で魅力的だし、こんなの見たことない!
もう何を言ってもネタバレになるので多くを語れない。読め!としかいえない。強くオススメする。
これから何も知らずにこの本を手に取る人は幸せだと思う。すばらしい読書体験を約束してくれること請け合い。新鮮な驚きと面白さ。燦然と輝いてる。ほぼ天才の所業。
0 件のコメント:
コメントを投稿