2018年公開の「チェリーボーイズ」を見る。原作は古泉智浩の同名漫画(2001 青林工藝舎刊)。
監督はこの企画をずっと温めてきたという西海謙一郎の初監督作品。脚本は松居大悟。製作は東映ビデオ、マイケルギオン、他。配給はアークエンタテインメント。映倫R15+。
とある地方都市、クンニ(東京でバンド活動、実家は酒屋の林遣都)、ビーチク(市役所勤務、栁俊太郎)、カウパー(パチンコ屋バイト、前野朋哉)の25歳童貞トリオによる、地元で浮名を流す美女・釈笛子(池田エライザ)をターゲットとする「脱童貞作戦」の顛末を描く。
なんでこれを見ようと思ったのか?最近になって池田エライザが実はすごく知的だと気づいたから。キネマ旬報2020年12月上旬号で初映画監督作についてインタビューを受けたとき、「池田エライザの魂を揺さぶった映画」としてこの「チェリーボーイズ」の名前を挙げていたから。
こいつらの暮らす町が治安悪い。コンビニ前でかなり粗暴なカツアゲ(ほぼ強盗)が発生してるというのに3人は見て見ぬふり。
クンニはとにかく悪態ついてる。独自の自己中論理で他者をバカにしてる。
ビーチクとカウパーはとにかく弱気。栁俊太郎と林遣都はダサそうにしていても普通にモテそうなのだが。
プーチン(ほぼヤクザ、石垣佑磨)と岡山天音の極悪チンピラが酷すぎる。居酒屋で絡んでくる声がデカすぎる。こんなやつ都会にはいない。SNSでいきなり煽り運転動画を見せられたときと同質の不快感。
クンニの前を池田エライザが通りかかる。もう最初からエロい。配達中のビールケースからビールを直接買って瓶で飲む。
3人のリーダー格クンニはこいつを3人で襲撃して童貞を卒業する計画を打ち明ける。こいつはとにかく口が悪いしほぼ狂気の犯罪者予備軍。わりとまともな一般人ビーチクとカウパ―は早くそいつと縁を切れ!
釈エライザ笛子と田舎ヤンキーたちのカラオケゲームって地上波で放送できないやつ。エライザ、なんでこんな役を受けた?
この映画、最初から最後まで池田エライザが可愛らしくいい女として描いてる。そこ、演出上で重要。
ビールを配達に行って部屋に上がってじゃがいもをふるまわれるシーンのホットパンツエライザは男子はみんな好きになっちゃうやつ。ザ美女。
プーチンに反抗するビーチク。この映画、エロとバイオレンスの田舎ロシア国民は見るべき。
プーチンの女パー子役の松本メイはセ○シー女優だそうだがすごく台詞演技が上手くて感心しかしなかった。
あと、栁俊太郎はもっと俳優として成長して30代後半になったら金田一耕助をやってほしい俳優。とにかくおしゃれでスタイルが良い色男。
仕事中の勤務先にプーチン(まずこいつを始末するべき)がやってくるの、田舎の役所と同○利権みたいだった。職場の同僚たちがみんな固まってる。
カウパ―(こいつは車を持っている)だけがイイ感じの女友達(山谷花純)がいるのだが、この子に小さな子どもがいると知るや逃げるっていう。そのシーンの山谷花純の表情が哀しい。
林遣都くんがTRICKの上田のようにセコくてキモい自意識過剰。笛子に告白するも「実家継いだら?」と言われ、再び襲撃計画。狂ってる。
コメディかと思ってのだが、日本の田舎って粗暴チンピラがカーストの頂点にいたりとか、ヤリ○ン女とかいて嫌だよね…っていう社会病理を描いた社会派青春映画。
クンニ林とヤリ○ン笛子の直接対決シーンでの池田エライザのアクションと、「やらせろ!」に対する表情の演技が絶妙。「キモい…」
男たちの台詞がひたすらバカなのだが、なんかいろいろ深いなと感じる映画。わりと強く印象に残った。もっと早く見るべきだったかもしれない。
主題歌はMANNISH BOYS「GO!GO!Cherry Boy!」
MANNISH BOYSってなつかしい。まだ活動してんのかな。
ちなみに斉藤和義さんのニックネーム「せっちゃん」は学生時代いつも「セッ○スしたい」と言ってたから。主人公たちに共感できたからこそ主題歌を引き受けたのかもしれない。
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