川端康成「虹いくたび」がそこにあったので読む。処分するというのでもらってきて読む。
婦人公論に昭和25年3月から26年4月まで連載されたもの。
老建築家水原とそれぞれ母親の違う娘たち(三人姉妹)を、戦争直後の箱根、京都を舞台に悲哀を込めて描く。
読んでる最中は、市川崑映画の色合いでイメージし脳内再生。と思ったら、昭和31年にはもう島耕二監督が京マチ子、上原謙、若尾文子で映画化されていた。
まず、次女にあたる麻子が老父と一緒にお風呂に入ってることが、現代人から見ると(たぶん海外の読者から見ても)、異常で混乱。
麻子の姉百子は母が自死。恋人啓太が沖縄で戦死。自身は青酸加里を飲んで死のうとするも、育ての母に砂糖とすり替えられていたために命を救われた。
しかし、どういうわけかすごく年下の少年ばかり愛するようになる。同性愛的な少年愛?
それは父も妹も知っている。アプレゲールとしてのショタコン?ジャニオタみたいなお姉さんは戦後すぐからいた?!
航空兵として出征する啓太は百子に、乳房を石膏で型をとって銀の盃をつくることを要求。明日も知れない命。「出撃するとき最後の生を乳碗で飲みたい」
え、そんなの初めて。50代にさしかかった川端ならではの変態エロス。
三島由紀夫の金閣寺にも出征する将校と若い妻にも乳房エピソードがあった。もしかすると川端の影響?(違うかもしれない)
百子は少年竹宮の子を妊娠?!だが幼い竹宮くんは百子の元から逃げ、後に自殺。百子はお腹の子も堕胎。それでも百子は生きる。独自の論理で。
正妻でない菊枝(芸者)との子・若子とは父と百子で対面。それがラストシーン。何人も母親の異なる娘がいる父親ってだらしない。でも昔のそれなりに地位がある金持ちには普通なこと?
あとは京都の雅。「大徳寺納豆」がわからず調べた。京都に詳しい人はたぶんもっと楽しめる。
だが、それほど面白くは感じなかった。婦人公論に連載されたので女性読者を想定?
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