2023年12月20日水曜日

飛鳥部勝則「鏡陥穽」(2005)

飛鳥部勝則「鏡陥穽」(2005 文藝春秋)を読む。これで自分が私的に開始した秋の飛鳥部勝則読書まつりもこれをもって一段落。

事前にたぶんホラーらしいという情報のみを知らされた状態で読書開始。
事務系OLの麻田葉子は飲んだ帰りに暗い夜道で脱獄したレイプ魔に襲われる。捨て身の必死の抵抗により、そこにあった石をつかんで相手の側頭部を殴りつけたら相手死亡。この女がなぜか相手の死を確認するのに目玉に指を突っ込む。

家に帰って警察に電話しようとしたら、疑り深い彼氏からの電話。帰りが遅くなった理由を言い訳してるうちに、なんであんな通り魔を正当防衛で殺した自分がわざわざ警察に教えないといけない?とバカらしく感じる。
で、現場に戻って死体を車のトランクに入れて海へ行って崖から棄てる。

すると殺したはずの男にそっくりな自称刑事という男につきまとわれ恐喝。ここまでは読んでいてヒッチコックや清張みたいなジャンルかな?と思えた。

この男がそれほど真剣に恐喝する気はない。女にぐいぐい迫ってくる。部屋に上がり込んで、自身の父(富山の薬売りで変態性欲者)と、ロシア皇帝の娘アナスタシアがボルシェヴィキに輪姦されて生まれた女盗賊「ウクライナの白貂」ことアンナ、人間を複製する魔鏡についての話を延々と聴かされる。

またしても自分は一体何を読まされているんだ?というような、講談のような噺。幻想怪奇グロホラー展開。
「鏡陥穽」とは乱歩の「鏡地獄」を意識したのかな。「パノラマ島奇談」と「孤島の鬼」を現代的にPOPにホラー化した感じかも。中島哲也監督作品のようなハチャメチャ自由展開な流浪するヒロインと大量殺戮。

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