「天気予報入門 ゲリラ豪雨や巨大台風をどう予測するのか」古川武彦・大木勇人(2021 講談社ブルーバックス)を読む。自分、わりと気象に関心を持っていたのだが最近はぜんぜん触れていない。思い出したようにこの手の入門書を読む。自分の知識をブラッシュアップするために読む。
結論から言って、この本は良書である。この手の入門書を昔はよく読んだのだが、この本はコンパクトに必要とされるものがまとまってる。内容としては、気象予報士試験に興味を持った人が最初に読むべき1冊を目指したのかもしれない。
第1章で台風、第2章で気象予報の歴史、第3章で気象観測がどう行われているのか、第4章で天気図についてをささっと紹介。自分の知らなかった知識や図、写真をいくつか見た。
一般のお天気ウォッチャーには馴染みが薄いエマグラムについてしっかり解説していた。忘れていたことを思い出させてくれた。
第5章以降は数値予報についての解説。この手の本としてはめずらしくかなりのページを割いている。数値予報とはつまるところ何をしているのか?それは①運動方程式、②エネルギーの保存法則(熱力学第2法則)、③気体の状態方程式、④質量保存の法則、⑤水、後の残りはパラメタリゼーション。
このへんの説明はなるべく数式を使わない努力をしている。だが、数式の中に日本語説明文を入れて説明するのは読者をさらに戸惑わせないか?
やさしく説明しようとしても、偏微分が出てくるともう高校生以下には困惑しかない。
850hPa図、700hPa図、500hPa図、300hPa図、衛星の可視画像、赤外線画像、水蒸気画像を読み解くポイント解説が十分だという本とはまだ出合ったことがない。
渦度とか、上昇気流を1時間あたりの気圧変化で表すところで静水圧平衡についての説明とかもっと必要だと感じた。
あと、ウィンドプロファイラの仕組みと出力図の注目するべきポイントを押さえた本がほしい。
個人的に好きなタイプの気象学本はヤマケイで出てたみたいな山の事故と数日前の天気図や気象衛星画像を見比べるケーススタディみたいなもの。入門書に出てくる気象被害ケースはたいていどれも同じ。
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