2021年6月4日金曜日

エラリー・クイーン「ハートの4」(1938)

エラリー・クイーン「ハートの4」を青田勝訳創元推理文庫で読む。
THE FOUR OF HEARTS by Ellery Queen 1938
これは「悪魔の報復」につづく作家兼探偵エラリーくんのハリウッドもの第2作らしい。

これも読んでいてぜんぜん頭に入ってこない文体。いちいち立ち止まって意味を考えないといけない。
エラリーくんはハリウッドの映画会社で働いてるらしい。大物プロデューサーと連絡が取れなくてイライラして喧嘩。アメリカ上流階級の人々の粗暴なくせにスノッブな感じが嫌。

前4分の1が、ハリウッドでいがみ合うセレブ家庭、スチュアート家とロイル家の人々で映画を作れないだろうかと画策する人々。カジノでの出会いと男女のケンカ。
正直、このへんはすべてバッサリカットでよかったと思う。これさえなければエラリー・クイーンがもっと好きになってる。

ハリウッドセレブ情報が集まる美人ポーラにエラリーくんは一目ボレ。この完璧美女が複数以上の人だと対人恐怖?さらに引きこもり?なのに情報屋から価値の高い情報を得ている。

不時着した飛行機の中から毒殺された新婚夫婦の遺体が発見される。操縦士がいなくなってる…とか、わくわくできるミステリーにはなっている。
え、アメリカって貸飛行機ってビジネスが30年代からあるの?個人の屋敷に飛行場?そんなに気軽にプライベート機で移動できるの?

ハリウッドの事情もよくわからない。撮影所にバンガロー?個人のタイプライターなのに誰でも使用できる?郵便取扱会社?当時の常識がよくわからない。脳内で映像を正しくイメージできない。

「ハートの4」というタイトルから、またまたガチガチロジックのエラリーなのかな?と思っていたけどそうでもない。トランプカードの意味を使った脅迫状。それにはあんまり意味はない。
偏屈老人の遺産相続という、クリスティでよく見るような構造だった。わりと古い時代の古典的作風。

恋するエラリーくんでときめいたりできる人にはたぶん面白い。けど、もうエラリーを読むのは本当にこれで最後にしたい。

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