2021年2月17日水曜日

アガサ・クリスティー「招かれざる客」(1958)

アガサ・クリスティー「招かれざる客」を深町眞理子訳2004年クリスティー文庫で読む。クリスティマラソン73冊目でついに戯曲に手を出した。
THE UNEXPECTED GUEST by Agatha Christie 1958
ブリストル海峡に面した田舎の邸宅を、深い霧のために車を溝に落としてしまったという謎の青年スタークウェッダー氏が訪問する場面から舞台は始まる。電話を貸してもらいたい。できることなら一夜泊めてもらいたい。

呼びかけても声がない。扉が開いていたので入ってみると、車椅子の当主が銃で撃たれて死んでいる。その傍らには銃を持った若い妻ローラが立っていた。「私が撃ったの」
不自由な体になり深酒、サディズム的性格を持った夫リチャードとケンカの末の妻による犯行か?

この話の予想外なところは、ローラが美人なものだから、よせばいいのにスタークウェッダー氏が外部の犯行に見せかけようと提案し半ば強引に協力し真実を捻じ曲げていく。ローラは困惑しながらも従うしかない。
リチャードは飲酒運転で子どもを撥ねて殺してしまった過去があった。その子の父を犯人に仕立て上げよう。

実はローラは真犯人ではないらしい。恋仲の男友だちをかばってる?
リチャードの実の母、その忠実な看護婦、執事、前当主と後妻の間に生まれた知的障害のある少年、クビになった庭師、みんな怪しい。とくにローラと恋仲らしい地元の名士ジュリアンは執事のエンジェルに殺害時刻の直前に目撃されていた。

警察の調査の結果、交通事故死した子の父マグレガーはアラスカで死んでいた。よって、家族に犯人がいる!操作は振り出しに戻る。

クリスティらしい書斎でのみ進行する全2幕のサスペンス舞台脚本。色々な可能性を提示しておいて真相は霧の中…と思わせておいて、ラストは二転し意外な真相へ。そしてサッと幕が降ろされる。

通常の推理小説のように証拠を探したりしない。殺害に使用された銃の件は疑問。警察がもっとよく調べたら?執事が主人の銃コレクションに詳しかったら?やはりあの犯人はやがて追われる身になるのでは?

しかしたぶん、これを舞台で役者たちが演じてるのを見れば多分楽しく見れるだろうと思う。2時間ほどで読めるライトな一冊。

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