2020年9月21日月曜日

松岡茉優「蜜蜂と遠雷」(2019)

恩田陸の同名小説の実写映画化「蜜蜂と遠雷」(2019 東宝)を読む。恩田陸の本はこれまで多くが映画やドラマになってる。今回はクラシックのピアノコンクールを舞台にした青春群像劇ドラマらしい。監督と脚本は石川慶。またまた市川南東宝映画。

クラシックの演奏家を描いた映画はついハードルを上げて評価を厳し目にしてしまう。漫画家が描くクラシックピアニストの世界より、人気作家の書くクラシックピアニストによりリアルを感じられるかもしれないと期待する。

予告編CMでセルゲイ・プロコフィエフピアノ協奏曲第3番ハ長調の第1楽章を使っていたのが印象強い。この曲はもうだいぶ昔からピアノコンクール定番の人気曲。すごくかっこいいし技巧が映える。

実は、自分がクラオタになったきっかけがこの曲。初めて買ったクラシックCDがアシュケナージ&プレヴィンcond.ロンドンSOによるDeccaの全集。人生において何度聴いたかわからない。(でもスコアは持ってない)
以後、アルゲリッチ、キーシン、ブロンフマン、フランソワ、グラフマン、ワイセンベルク、カッチェン、カペル、などなど。今ではYouTubeで新しいものも古いものも聴ける。そして結局アシュケナージに戻るという。

天才的ひらめきが爆発したこの素晴らしい楽曲が世間に見つかってしまう!?と思いきや、やはり世間一般の音楽ファン映画ファンにはそれほど話題になってなかったw

松岡茉優、松坂桃李という若手人気女優と俳優。そして森崎ウィン、鈴鹿央士というフレッシュスターたちの共演。
この映画も日本映画らしく、人気俳優が均等に見せ場をわりふったような、退屈なヒューマンドラマのような悪い予感もしてた。
松坂は妻子持ち楽器店での仕事の傍らでのコンクール参加。ああ、そうきたか。

俳優がクラシック演奏家を演じると必ずちょっとしたストレスを感じる。よほど監督の演出が上手くなければらしく見えない。
しかも新進気鋭の若手ピアニストの役。たぶん、ランランとかユジャ・ワンみたいな方向へ行くんじゃないかと。クラシック音楽に若者の耳に届けるには見た目の華やかさも必要らしい。
ピアニスト役になりきれていたか?この映画はその点のみでは50点。

で、国際ピアノコンクールの舞台裏人間模様のようなものを見せられる。実際もこんなもんかもと思わせる。驚いたのが2次予選でまだ誰も知らない新作の課題曲を弾かされる。そんなコンクールあんの?そしてピアニストとしての技量が試されるカデンツァ合戦。

審査委員斉藤由貴がけだるそうな英語で外国人審査員たちと審査を取りまとめる。格闘するピアノの天才たちを裁く。審査員同士で会話のシーンが多いのはクラシック映画のいつもの方法。

多分この映画はよほどクラシック音楽の世界に詳しい人でないといろいろとちんぷんかんぷんだったかもしれない。
バルトークとプロコフィエフでは一般視聴者は音楽の聴き方すらわからないと思う。
自分なら人間ドラマを8割、コンクールシーン2割にする。コンクールは一切の説明セリフをカット。なんなら無音でもいいw 市川崑や岡本喜八のように撮りたい。

自分としてもつまらなかった。演奏シーンにもとくに感動はない。それとなぜタイトルが「蜜蜂と遠雷」なのかわからなかった。

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