2020年7月21日火曜日

アイスキュロス「テーバイ攻めの七将」(BC.467)

引き続きギリシャ悲劇を読む。アイスキュロス「テーバイ攻めの七将」(BC.467)を読む。
昭和39年筑摩書房「世界古典文学全集」第8巻の高津春繁訳を昭和48年に岩波文庫化したもの。この岩波文庫版はとても薄い。

オイディプス王追放後のテーバイはふたりの王子エテオクレスポリュネイケスが王位を争った。ポリュネイケスを追放したエテオクレスがテーバイ王になる。そしてポリュネイケスがアルゴスの軍勢を率いてテーバイの城壁を取り囲んでいる。という状況で劇は始まる。
エテオクレスは恐れおののく民衆を叱咤する。7つの門を攻めかかる敵方の七将の名を聴いて、こちらも守備に七将を選んで配置する。

この劇はほとんどエテオクレス、使者、コロスだけで進行。少ない。てっきり敵味方の七将の活躍を描くのかと思ってたら肩透かし。これから戦争だ!という場面と、結果だけが使者から知らされる。
七人の武将たちの英雄譚かと思ってたら違うのかよ。使者の口から名前が出るだけ。

テーバイは守られた。だが、エテオクレスとポリュネイケスの兄弟相撃ちで呪われたエディプスの息子たちは滅びる。最後にアンティゴネとイスメネが登場し嘆きと悲しみを交互に形式的に繰り返す。
アイスキュロスが書いたのは1004行目まで。それ以後の布告使とアンティゴネの箇所は後世に付け足されたものと判明しているらしい。

この劇のメインは使者が告げるアルゴス軍の七将たちの様子。盾にどんな装飾がされているのかという報告が重要視されているのが面白い。
あと、日本語訳として声に出して読みたい完成度だと感じた。

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