綾辻行人「Another アナザー」(2009)はまだ読んでなかった。昨年12月、この角川スニーカー文庫版(いとうのいぢイラスト入り)がそこに上下巻そろっているのを見つけて、暇なときに読んでみようかと、歴史小説に紛れ込ませて買い求めた。100円×2=200円で購入。
2012年の橋本愛&山﨑賢人主演の映画版を見たことがある。もうよく覚えていないのだが、おそらくこの原作は映画とはいろいろ違っているに違いない。
アニメ化もされたようだ。この文庫版は表紙をめくるとカラーのアニメイラストが折り込んである。文体が平易。これは中高生向けに違いない。
主人公榊原恒一は中学3年生。父の仕事の都合で、自分を産んだ直後に亡くなった母の故郷へ引っ越す。祖父母と暮らしてる。父親は大学教授でインドにいる。東京の名門私立中から、母の母校である夜見山北中学校へ4月20日に転入する予定が、肺気胸で入院。5月になってやっと入学。
だが、なんとなくクラスの雰囲気がおかしい。いろいろおかしな緊張感がある。
クラスメートに見崎鳴(ミサキ メイ)という眼帯美少女がいるのだが、他のクラスメートには見えていない?!
橋本愛映画版では他のクラスメートの存在感と個性がまるで描かれていなかったのだが、原作はわりと多くのクラスメートが登場する。
夜見山北中3年3組にだけ存在する特異な呪いと世界観を上巻フルでくどいほどにしっかり叩き込む。ある年だけ呪いが発動しクラスメートかその両親、兄弟が変死していく。しかも毎月2人以上。
クラスに死者がひとりまぎれこんでいるらしい。そいつは見分けることができない。結果、3年3組と教職員たちは申し送りで、呪いに対抗する方法を編み出した。だれかひとりをいないものとして扱って、教室の人数を調整。それが鳴と恒一になってしまう。呪いへの対処展開が地味。
まあ、日本独自に進化した物理法則も科学も無視した理不尽ホラー。中高生を対象にしたジュブナイルホラー。
周囲で人が死んでるんだけど、主人公たちの目の前で恐ろしいことが起こるのは最初の1回か2回ぐらい。あーでもない、こーでもないと考えて右往左往する生徒たち。下巻は派手な惨劇クライマックスがあるものの、そこまでがぐだぐだ退屈。
死人は誰か?その点でフーダニットと言えるかもしれない。作者らしい叙述トリックもあってちょっと驚いた。でも全体の印象として、大人が読むには物足りないと感じた。
この本を読んだら「アナザー S」という続編が読めると思っていたのだが、綾辻ホラーはしばらく置いておこうと思う。
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