2020年3月16日月曜日

三津田信三「首無の如き祟るもの」(2007)

三津田信三を初めて読む。怪奇ミステリーの世界で有名な作家らしいが自分はぜんぜん知らなかった。
何を読んでいいかわからない。どれも似たようなタイトルで覚えられないのだが、たまたまそこにあった「首無の如き祟るもの」(2007)を原書房ミステリーリーグ版で読む。445ページに及ぶ分厚い長編ミステリー。

戦中戦後の奥多摩を舞台に横溝正史ふうなミステリーを書いてみました感。怪奇幻想的な「八つ墓村」。
戦国時代の因縁を引きずる迷信に支配された閉鎖的な村。名家の家督相続と婚姻、分家との争い、家を守ることしか考えてない老人、好色な当主、男尊女卑、出生の秘密など、いかにもな要素で構成。
使用人の少年、そして村の平巡査の目線で描かれる。

そして、首なし死体!首なし死体!首なし死体!生首!首なし死体!の連続。ここまで首なし死体で押しまくるミステリーもめずらしい。

この本のほとんどが舞台装置の描写と世界観と細かい設定の説明。秘守家の嫡男の13歳の儀式とか、嫁選び儀式とか、呪いとか。他にない特殊な四重の密室。

首なし死体は身元を隠し、被害者と加害者を入れ替えるなどややこしい頭の痛い問題。なのに特殊な設定と複雑な人間関係。

謎の解明がラスト部分えばばばっと提示されるので、すでに細かい部分を忘れているうえに、ややこしくてぜんぜん頭に入ってこない。謎は少しずつ解き明かしながら読み進められるようにしてほしい。

しかも、3度4度と物語の根底からひっくり返すようなどんでん返しが立て続く。結果、これはかなりの力作。
ただ、自分の感覚からすると力作すぎ。もうちょっと物語がシンプルな方が好き。映像化するにはかなり簡略化しないと無理かも。

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