2020年3月22日日曜日

アガサ・クリスティー「忘られぬ死」(1944)

クリスティマラソン64冊目、アガサ・クリスティー「忘られぬ死」を中村能三訳1985年ハヤカワ・ミステリ文庫で読む。
SPARKLING CYANIDE by Agatha Christie 1944
パーティーの席上で毒をあおって死んだローズマリー。インフルエンザとその後のノイローゼでの自殺だと処理された。
その11か月後、ローズマリー周辺関係者それぞれ主観の手記でローズマリーとの出会いから死までを回想。

ローズマリーの妹アイリス、夫の美人秘書ルース、一時はローズマリーに熱を上げたが今はアイリスと付き合ってるアンソニー(刑務所に入っていた過去が?)、ローズマリーと身の破滅ギリギリの不倫関係にあった若手政治家ファラデー氏、名門貴族の娘でファラデー氏の妻アレクサンドラ、そしてローズマリーの地味な夫ジョージ・バートン氏。

頭が弱く恋愛に奔放で空気が読めない資産家ローズマリーを殺す動機を周囲のそれぞれが持っていた?!まるで「藪の中」みたいな展開。

「妻は他殺されたのでは?」と疑うバートン氏。同じ場所で同じメンバーを集めて義理の妹アイリスの誕生会をするも、今度はバートン氏自身が毒殺。

ケンプ警部、レイス大佐、そして事件関係者Aがそれぞれ犯人の候補者を挙げる。
だが、読者にしつこく男女の愛と嫉妬のドラマだと思わせておいて、真相はドライなのがクリスティ女史の十八番。最終的に誰が得するのか?

やっぱり重要な情報は読者に教えてくれないミスリードの名人芸w 結果、この真犯人は当てられない。

ラストでは爽やかカップルの可愛らしいやりとりで終わる。この作品も恋愛ミステリーでとてもオシャレ。十分にオススメできる。英国の刑事は日本や米国と違って紳士でよい。

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