2019年11月8日金曜日

有村架純「関ケ原」(2017)

自分、10年ほど前に関ケ原を友人と一緒に歩いた。その時に初めて関ケ原が岐阜県にあることを知った。そのときは「関ヶ原の戦い」って東軍・徳川家康が、西軍・石田三成を破った戦いでしょ?という小学生知識しか持っていなかった。

その後、司馬遼太郎「関ケ原」新潮文庫版全3巻を読んだ。これはたいへんに面白かったので今もよく覚えている。
三成と島左近の生真面目さ、家康と本多正信の老獪さが印象的。
自分はこれを大河ドラマにしてくれ!とずっと思っていた。そしたら映画になった。
だが、ぜんぜん話題を聞かなかったw ちょっとはヒットしたのか?

監督脚本が原田眞人。どれもが自分にあまり合ってない映画ばかり。有村架純が出ているので見てみた。
予告編からして「やってんなあ」というやつ。いまさらカルミナブラーナ?!
予告編のナレーションってどの映画もいつも同じ人ばかり。

東出昌大が予告編で目立ってた。何の役だろう?と思っていたら、小早川秀秋?!
東出は189㎝の大男だぞ?秀秋は19歳だぞ?ぜんぜんイメージと違う。宇喜田秀家とかだろ。

司馬遼太郎が少年時代にどこかの寺で三成と秀吉の出会いの場面を老人から聞く情景がナレーションで語られる。なぜかこういうところが原作に忠実。

滝藤賢一の豊臣秀吉がエキセントリックで不気味で嫌w ハゲ鼠のイメージには近い顔だったかもしれないけど。
キムラ緑子の北政所も不気味で嫌。まるでこいつのせいで福島も小早川も運命の歯車が狂ったように見える。茶々も大谷吉継も見た目が史上空前に超不気味。

秀次の妻子が皆殺しに遭うエピソードがもっと世に知られていたら秀吉はもっと嫌われてるはず。
三成と島左近の出会いってこんなシーンだったっけ?島のイメージは原作に近いが顔が怖い。
司馬はサラリーマンの愛読書。必ずエロ要素を盛り込む。だが、この映画にはその要素が皆無。
原作では愛人の初芽は有能な忍びどころか家臣なの?三成、島と一緒にいるシーンが多い。忍び同士の争いでアクションシーンもある。有村のちょっと怒ったような表情がいい。

尾張人が下品な田舎者。福島正則、加藤清正が荒くれ者すぎで家康に付け入れられる。
一方で近江人は上品で真面目。みんなすごく早口。

そして開戦。三成の仕事は戦闘への参加を催促ばかり。
悲劇と喜劇は紙一重。島津の陣を見て「ダメだこりゃ」というシーンに笑った。
阿茶局(伊藤歩)も伝令将校のごとく関ケ原にいる?!家康には読んだ記憶がないユーモアシーンを盛っている。
結局戦況を一変させたのは優柔不断小早川秀秋が東軍についたから。この映画の秀秋はかなり錯乱状態。
後継者争いと勢力争いで正義とかいうものに異常にこだわった三成の敗北は大きな教訓を残す。

司馬遼太郎「関ケ原」とはまったくの別物映画になっていた。これは圧倒的に本のほうが面白い。削ったものと盛ったものの選択を見ても、原田監督は自分と合ってなかった。
ちょっと昔はお正月に各テレビ局が無駄に長い戦国時代劇ばかり放送していたのを思い出した。

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