2019年6月25日火曜日

アガサ・クリスティー「七つの時計」(1929)

アガサ・クリスティー「七つの時計」を読む。深町真理子訳1981年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。
THE SEVEN DIALS MYSTERY by Agatha Christie 1929
クリスティーといえばポアロとミス・マープル、あとはベレスフォード夫妻と短編だとばかり思っていたのだが、バトル警視もの長編がいくつかあることを「ゼロ時間へ」で知った。

鉄鋼で財を成したクート夫妻の招待でチムニーズ館に集まった若者たちのシーンから始まる。クリスティの作品に登場する人々は英国上流階級の人々ばかり。働いてる様子がない。
昼になっても起きてこない寝坊くんジェリーにいたずらを仕掛けるために、音のでかい8つの目覚まし時計を購入。寝たのを確認してからベッドの下に置く。

翌朝、隣の部屋も飛び起きるほど鳴ったというのにやっぱり起きない。きっと起きてるけど、こちらの意図に気づいてあえて起きてこないに違いない。

だが、ジェリーは部屋で多量の睡眠薬を摂取し死んでいた!睡眠薬なんて必要ないし飲んだこともないのに。

やがて事件当日館にいた若い外交官ロニーも銃撃され死亡。謎のダイイングメッセージは「セブン・ダイアルズ」。

チムニーズ館所有者ケイタラム卿の娘バンドル嬢が、よせばいいのに好奇心からロンドンのセブンダイアルズクラブへ潜入捜査。

謎の秘密結社セブン・ダイアルズ・クラブとは?ナンバー7の男の正体とは?
あ、これもやっぱりクリスティ女史お得意の好奇心お嬢様の冒険型スパイスリラーか?

いちおうつぎつぎと事件は起こっていてバンドル嬢の冒険が続く。
ラストで明かされる衝撃の真実とナンバー7の正体にはそれなりに驚かされた。バトル警視の頼もしい落ち着きっぷり!

だが、読んでいてあまり面白くないなと感じてた。クリスティの傑作とよばれる作品にくらべると、内容も展開も散漫で構成も美しくない。

自分はクリスティ長編66作読破に挑戦中。そろそろ折り返し点のはずだが、この「七つの時計」は読んでる途中から、今まで読んだすべてのクリスティ作品の中で、例外的な駄作だと感じた。読後の評価も同じ。「七つの時計」というタイトルからアリバイ崩しみたいな想像していたのだが、事件とまったく関係なくて笑った。

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