THE DRAGON'S TEETH by Ellery Queen 1939いきなり冒頭でボー・ランメル君という青年探偵と一緒に探偵事務所を開設するエラリーくん。さっそく資産家コール氏からまだ起こってない事件に関して前金1万5千ドル契約の仕事が舞い込む。
だが、コール氏は大西洋上ヨットで急死。通行中の他船の医師によって死亡確認後に、船長、友人らによって水葬。1週間後に知らされそれはマズいと焦るエラリー。
資産家の巨万の富を相続する姪がふたり。ハリウッドで売れない女優をしていたケリー嬢、そしてフランスにはマーゴ嬢という未婚娘がいた。
未婚でいる間は莫大な資産の運用で得た配当を受け取ることができるというのが富豪の遺言。
盲腸の手術で動けないエラリーくんに代わってボーくんがエラリーを名乗りハリウッドへ。ケリー嬢を探し当てる。
フランスからはマーゴ嬢がやって来て同じ屋敷で一緒に住むことに。資産はふたりで分割。お互いを敵視するようになる。
やがてケリーは寝室に忍び込んだ何者かの気配を感じ、愛馬の蹄鉄の釘を抜かれて転倒落馬し死にかける。ガレージに閉じ込められあわや一酸化炭素中毒死寸前。どうみても命を狙われてる。
これはもう資産を諦め、恋に落ちたボーくんと結婚し屋敷を去ることに決めたケリー。
新婚エラリー・クイーン夫妻としてニューヨークのホテルへ。ボーが仕事があると出かけひとり残されたケリーの部屋へマーゴがやってくる。ボーはマーゴを愛してるから計略で結婚し遺産相続権をケリーから放棄させただけと高笑い。
だがその直後、マーゴは何ものからか窓の外からの銃撃で死亡。部屋に投げ入れられたリボルバーを拾ったところでホテル支配人と専属探偵に見つかり警察を呼ばれる。しかもそれはガレージで亡くしたはずの自身で買った護身用リボルバー。絶体絶命!
これ、読んでいてクリスティっぽいなと感じた。きっと誰かが誰かと入れ替わって成りすましている。エラリークイーンにしてはドラマとして面白く読んでいて退屈しなかった。だが、それも途中まで。
エラリーくんは勝利宣言のつもりで一同を集めておいて「オマエの正体は実はアレだろ!」と迫るも一回失敗する。
エラリーくんのロジックを一つずつ積み重ねていく思考はさすがだが、勿体つけすぎ。そして意外な犯人が往生際悪い。かなり終盤ぐだぐだ感がする。
アメリカの遺産相続と遺言の執行のしくみを知らなくて戸惑った。結婚の手続き、小切手、身元証明書?あと、アメリカ人って万年筆のキャップを噛んで外すの?
「ドラゴンの歯」は期待しないで読んだのだが、もっと人気があってよいはずだと感じた。それぞれの会話がユーモアがあって面白い。
宇野利泰訳も古いはずなのだが、井上勇訳の調子の狂うような珍妙な古臭さは感じなかった。井上訳を読んだ後だとすごく調子よく読める。
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