2019年3月19日火曜日

エラリー・クイーン「中途の家」(1936)

エラリー・クイーン「中途の家」を読む。井上勇訳1962年創元推理文庫の2000年第45刷で読む。
HALFWAY HOUSE by Ellery Queen 1936
ニュージャージーの州都トレントン、1930年国勢調査では人口123,356人。その街の酒場でエラリーは周囲の名士たちの会話に聴き耳たてつつコーヒーとアップルパイ。

そこでたまたま弁護士の旧友ビルと再会。エラリーくんのデューセンバーグに乗せてもらって一緒にニューヨークに行く約束に。
だが、「夜9時から義弟に会わなきゃいけない約束があるんだ」。

で、ビルが指定された場所(デラウェア川岸のマリーン・ターミナルから300ヤード)にある明りのついたあばら家へたどり着く。

すると突然女の悲鳴。ドアを開けて女がキャデラックで逃走。ビルは恐る恐る部屋へ入ってみると義弟が胸を刺されて虫の息。「女に刺された…」と言い残して死亡。エラリーに助けを求める。

殺された男は、フィラデルフィアではささやかな生活を送る旅商人ジョジフ・ウィルソンとして暮らしていた。

週5日は行商の旅に出ているという結婚生活をビルの妹ルシーと10年続けていたのだが、妻にまったく知られることなく同時にニューヨークの名士ジョジフ・ギンバルでもあった。
つまり秘密の重婚二重生活。ふたりの妻が駆け付けて修羅場。そのあばら家はウィルソンとギンバルと入れ替わるアジトだった?まさに中途の家。

殺された男には多額の保険金が掛けられていたのだが、直前に受取人がジェシカ・ギンバル夫人からルシーに変更されていた。
殺害現場に落ちていたラジエータ・キャップ、近くに乗り捨てられていたフォード、残されていたベールという証拠からルシーが逮捕される。兄ビルとエラリーは協力して裁判へ。

これ、真ん中あたりまで読んで、どうも愛の人間ドラマと法廷劇っぽいな…と感じ始める。だが、そのへんのジメジメした人間ドラマは一切なかった。それはよかった。

ぐだぐだしつつ最後は一堂に会して真相を得意げに披露。ナイフの先端の燃えたコルク、皿の上のマッチの燃えさしが事件の鍵。こいつがいつものようなガチガチ消去法ロジック。
ところで、今の10代は紙マッチってイメージできてる?

自分、土壇場で死んだのがしばらく誰だかわからなかった。エラリーくん、事前に用意周到に仕込んでおいてるのに結局犯人を死なせてる。なんでドヤ顔?

しかも、明治生まれの訳者の訳がしばらく考えないとわかりにくい。たぶんエラリー・クイーンの文体もわかりにくい。長い。
エラリー読者には評価が高いようだ。自分は正直あんまり気に入らなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿