2019年3月28日木曜日

エラリー・クイーン「スペイン岬の謎」(1935)

ひきつづき、エラリー・クイーン「スペイン岬の謎」(1935)を読む。井上勇訳1959年創元推理文庫版で読む。
こいつも角川から新訳が数年前に出たばかり。古めかしい表現が多いこの版はもう今後は読まれないだろうと思う。
THE SPANISH CAPE MYSTERY by Ellery Queen 1935
大西洋に突き出た険しい花崗岩の断崖「スペイン岬」。ゴッドフリー氏の所有する土地と邸宅からゴッドフリー氏の娘と、妻の弟のふたりが荒くれ船長に誘拐される場面からスタート。

いつものように休暇のエラリーくんは愛車デューセンバーグで、父と息子以上に年の離れた老判事マクリン氏と岬近くの別荘へやってくる。
そして誘拐された娘ローザを発見。一緒に誘拐された叔父のデーヴィッドはどうなった?叔父は不良マーコと間違えられて拉致された?

同じころ岬のゴッドフリー家でも事件が起きていた。浜辺テラスで宿泊客のハンサムジゴロ野郎マーコが全裸死体となって発見される。

で、地元警察のモリー警視に見込まれてエラリーくんが捜査と聴き込み開始。
ここでテイラーという執事が登場するのだが、こいつが探偵推理小説オタで記憶力と観察力があってとても有能。探偵の手先のようにいろいろな情報をエラリーくんにもたらす。エラリーくんにしてはめずらしく他人を絶賛w

え?ゴッドフリー家に招待されて滞在している人々は、実はゴッドフリー家の人たちとは誰も知り合いじゃない?!なにそのホラー。
この本、エラリーにしては真ん中付近が停滞退屈していない。飽きさせずに新事実が出てくる。

真犯人は意外っちゃ意外だが、自分は「読者への挑戦」直前のマントの件での証言で、たぶんアイツが犯人だなと気づいたw 
被害者が裸(もしくはそこにあるべきものがない)の場合、EQ作品では「あのパターン」だと知っていた。

それでも「スペイン岬」は国名シリーズ中、上位の面白さだった。
EQの国名シリーズも残すところ「アメリカ銃」のみとなった。すでに入手済みなのでいずれ読むはずだが、それに優先して読む本がたくさん積まれている。

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