2019年2月19日火曜日

アガサ・クリスティー「NかMか」(1941)

アガサ・クリスティー「NかMか」の早川書房2004年クリスティー文庫版(深町眞理子訳)を読む。
N or M ? by Agatha Christie 1941
トミー&タペンスベレズフォード夫妻が活躍する人気作らしいので楽しみにして読む。こいつも100円で手に入れたのだが、1ページ目が落丁しそう。

第2次大戦時下の英国。フランス戦線の戦況が芳しくなく重苦しい雰囲気。
中年ベレズフォード夫妻は何か仕事を見つけないとと焦ってる。40代半ばで老いぼれ扱いされることを嘆く。ふたりの子供もすっかり大きくなっている。

グラント氏がやってきてトミーに仕事の話を持ち掛ける。英国情報局員が死の直前にもらした「NかMか?ソング・スージー」の意味とは何か?ヒトラーの諜報員NとMの正体を探るべく、トミーはメドウズという偽名を名乗りリーハンプトンの無憂荘(サン・スーシ)へと単身向かう。

長期滞在の手続きをして滞在客と挨拶。するとそこにブレンキンソップ夫人という偽名を名乗る妻タペンスが!w
ふたり仲良くドイツのスパイを探り出すスリルとサスペンスの冒険。

だが、前半は何も起こらず地味展開。そこに普通にいて普通の生活をしている英国人たちの世間話。
当時の英国の人々のヒトラー観、ドイツ人観、アイルランド人観、ソ連観などを知れる。英国にもドイツに共鳴するファシストは存在していた。

半分まで読んで、ロンドンから疎開してきた若い母親の2歳の娘が外国人に誘拐される事件が発生。敵の正体に気づいたトミーも囚われの身。

だが、タペンスはぼんやり天然のようでいて敵を上回る罠をしかけていた!
ラストでスパイMの正体が明かされるのだが、自分は過去のクリスティの手口から予想の範囲内だった。それほど意外でもなかった。

クリスティ女史の痛快な傑作スパイスリラー娯楽作!充分に楽しめた。自分、この本で初めて「第五列」という言葉を知った。

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