2018年11月13日火曜日

横溝正史「金色の魔術師」(昭和27年)

横溝正史「金色の魔術師」を読む。こいつも「大迷宮」と一緒に同じ店で購入したもの。昭和54年版角川文庫の第3刷。100円で購入。
表紙の杉本イラストがヤバい。「どーもでぇーす」と言ってるようにしか見えない。

金ピカのフロックコートにシルクハット、白髪を真ん中分け長髪にし八の字髭と尖った顎鬚の怪人が子どもたちを誘拐拉致し、悪魔教の祭壇でいけにする…という、リアリティの一切ないジュブナイル怪奇小説。昭和27年に「少年クラブ」に連載されたのが初出。

「大迷宮」で活躍した立花滋少年が主人公。今回は小学校のクラスメートと3人で「少年探偵団」を結成。怪しい幽霊屋敷に潜入し秘密の部屋で悪魔の儀式、そして生け贄の子どもが消える場面を目撃。等々力警部と一緒に「金色の魔術師」を追う。

大人たちがみんな怪しい。金田一耕助は関西で病気療養中。下手な自筆手紙で子供たちに指示するのだが、「黒猫先生」なるこれまた怪しい人物に相談することを勧める。
しかも「この手紙を信用しなければなりません」とか「このことは誰にも言ってはいけません」とか、どう見ても何か変だ。

雪子、月江、花代という劇場子役スターが狙われる。横溝先生は人物名がいつもワンパターン。三姉妹なのになぜ「オリオン三きょうだい」?

「諸君はプロ野球のチームに、オリオンズというのがあるのを、ごぞんじだろう。」とある。おや?と思って調べてみたら毎日オリオンズが結成されたのが昭和24年秋。毎日オリオンズは翌年の2リーグ分裂後初のパリーグペナントレースに結成1年目で2位南海ホークスに15ゲーム差をつけて優勝。第1回日本シリーズ(日本ワールドシリーズ)で松竹を破って日本一。
そんな時代の子どもの読物を今になって自分が読んでいるw

部屋がエレベーターになっていて入れ替わるとか、前にもどこかで読んだ。目新しいことは何もなく、読んでいてぜんぜんワクワクできない。でも「大迷宮」よりかはマシ。

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