「廃道探索 山さ行がねが」平沼義之著(2016 実業之日本社)という本があるので読む。いつも古本ばかり読んでるけど、これはわりと新しい本。
これも友人の本棚から借りたのだが、この友人はこの本の著者を尊敬するあまり、2冊同じものを持っていた。
廃墟をめぐる人とか世間に知られるようになったけど、この人は廃道探索のパイオニア。廃道のプロ。自分、この人を知らなかったのだが、読んでみてちょっと感動した。
自分も廃墟とか行ったこともあるけど、それはすでに誰かネットに書いてくれた情報に基づいて先駆者の後を歩いている。
だがこの著者はここ数十年は誰もまったく歩いていないガチの廃道を見つけてきて探検している。脚が地面に着かないような深い藪を漕ぐように進む。
日光華厳の滝にある鵲橋、千葉県茂原市の谷戸の竹やぶの奥にある隧道、長野県旧三郷村から上高地へ延びる予定だった三郷スカイライン、千頭森林鉄道大間川支線、会津若松の束松新道とか、たいへんに興味深く楽しく読めた。廃道を歩くということは秘境探検そのもの。命がけの自転車と徒歩での独り旅。
この著者は机上調査をじつにしっかりやっている。なので無謀というわけではない。
国土地理院の地形図、航空写真、郷土史文献、古写真、古い絵はがき、古老の証言、などから忘れ去られた地図に載っていない廃道を探し出してくる。ちゃんと調べて推理して行政資料の間違いまで指摘。すごい。貴重な仕事。
それでいてこの人は文章が上手い。読んでいて面白い。この本は都会の小学生中学生に読ませるべき。道路というものへの見方を変える。概念を変える。
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